【回顧】 皐月賞
こんにちは。
皐月賞の回顧をしていきます。
終わってみれば無敗のGⅠ馬2頭の一騎打ち。そして勝ったのは昨年の最優秀2歳牡馬のコントレイルの方でした。
JRAの年度表彰の通りの結果になったのは非常に興味深い気がします。
そしてコントレイルは父ディープインパクト以来の無敗のダービー制覇の偉業がかかります。
前にも言いましたけど、やっぱり死んだ種牡馬の子は走るんですね。
ラップ・展開
12.2-11.3-12.1-11.8-12.4-12.9-12.2-11.9-11.8-12.1=2:00.7(稍重)
馬場が渇き稍重まで回復していました。
レースは快晴の中で行われ、気温も上がっていたので芝の緑が美しく煌びやかでした。なので、かなり良馬場に近づいてたのではないか?と思っていたのですが・・・
この10年で行われていた皐月賞では10・12・18年の3年が稍重で行われています。
10年(ヴィクトワールピサ):2:00.8
12年(ゴールドシップ):2:01.3
18年(エポカドーロ):2:00.8
ゴールドシップの時だけ少々かかっていますが、その他の2年とはほとんど変わりがないのでやはり時計はかかっていたようです。
これはほぼ同じ状況で行われたいたという客観的な証拠になります。
入線タイムが類似している10年・18年の当時はかなりタフな馬場状況でしたので今年も見た目以上にハードな馬場状況であった事はこれで間違いがなさそうです。
馬場が各馬に与えた影響はかなりあったのではないかと思います。重馬場の巧拙により結果に差が出ていたのではないでしょうか?
離して逃げたキメラベリテェの1000mは59.8秒も馬場を考慮すれば決して楽なペースではなかったと思います。
ただし、稍重で行われた上記3年のうち12・18年と比べると少々遅いペースであったので、後半1000mでの失速は多少抑えられています。
なので、ハイペースとまでは言えず計算上ではミドルに分類されるもので、先行した馬にも中段以降で待機した馬にもイーブンな流れでレースが展開していた模様です。
掲示板5頭の内訳も先行組2頭、中段1頭、後方組2頭と綺麗に分類出来るわかりやすい配列で決着しています。
レースの流れが結果に寄与した影響はほとんどなかっただろうと思われます。馬場の巧拙を抜きにすれば今回の結果は額面通りに受け取っていいでしょう。
GⅠ馬2頭が最後はマッチレースの様相で盛り上がりましたが、3着以下は3馬身半とチギれているのでこの着差はGⅠ級かどうかの境界線と受け取れます。
イーブンな展開であったことが、上位2頭との力差を如実に物語ってしまったようです。
終わってみればGⅠ馬2頭VSその他と言う構図になっており、レース前にされていた3強の評価は間違っていたという事になります。
各馬短評
コントレイスにサリオス。2頭の着差はごくわずか。大きな力差はなかったでしょう。
ですが、無敗馬同士であったので勝った負けたは普通の馬以上にシビアな現実となって来ます。
無敗が途絶えたサリオスのレーン騎手は馬場に敗因を求めています。最後に伸び負けたのは外がコンディションがよく、内が伸びにくいからだと分析しています。
とは言え、コントレイルはポジションの有利さを捨てて後方まで下げ、最後は外をブン回して来ているのですからこちらのロスも相当大きいはずです。
コントレイルが恵まれていたかというそうでなく、お互いがロスを抱えていたイーブンな状況でもあったと思います。
この2頭の結果も着順通りに評価しないとフェアにはなりません。サリオスは潔く完敗を認めるべきところでしょう。
でも、2頭の明暗を分けていたのは騎手の馬へのコンタクト量であったように思います。
レーン騎手も内より外が良いので「出したかったけど出せなかった」と話ているので、腹を括って下げてから外に出した福永騎手の方が上手く乗ったと言う事になります。
今回は騎手の腕の差が勝敗を決めたという見方も可能かもしれません。
ですが、レーン騎手は完全なテン乗でしたので、馬への理解度が足りていな勝った事は否めません。
もう少し騎乗経験があったなら馬の個性をより把握出来ていたでしょうし、レース中でのオプションももっと多かったはずです。
もっと違う手段を選んでサリオスを1着に導く事が出来た可能性はあったことでしょう。
馬がどう反応するかがわからなければ、ああしておけばよかったと言う事も出来ません。全くのテン乗りではどうしても限界があります。
レーン騎手は隔離期間中に馬に全く触れることが出来ませんでした。こういうところにもコロナ禍の影響が出ているのかもしれません。
かたや福永騎手とコントレイルは継続騎乗であり、新馬戦でもこの馬の手綱を取っていました。コンビ回数が多かったのは純粋にプラスに働いたでしょう。
かつ、ホープフルS後からのこの中間、福永騎手はノースヒルズの外厩大山ヒルズで放牧中のコントレイルに乗るために幾度となく足を運んでいたそうです。
これだけコンタクトが取れていれば、馬の個性は熟知出来ていますので、思い通りに御すことが出来ます。
今回のような大胆な騎乗もだから出来たのではないでしょう。
既に申し上げたように2頭に大きな力差はありませんでしたから、勝負付けが済んだと言えるような状況でもありません。
馬の力量的な面に原因を求めるよりも、馬の個性をどれだけ把握出来ていたかが影響していたのではなかろうか?と思います。
しばらくは日本にいるしかないレーン騎手も足りなかった騎乗経験をこの中間に十分と補う事が出来るでしょう。
ダービーまでにこの差はあっけなく埋まってしまうかもしれません。2頭のライバル物語はまだ終わっていないのではないかと考えています。
次走の日本ダービーでも2頭の激突に目が離せません。どちらもトラブルなく出走してきて欲しいと思います。
3着のガロアクリークの好走には少し驚きました。
これまでスローペースの上がりの競馬しか好走していなかったので、持続性のあるレースでここまで走るとは思いませんでした。
ペースがミドル止まりであったので辛うじてなんとかなったのかなぁと言う感じはありますが、この結果を受けた以上認識を改めなければなりません。
あと、デキもかなり良かったのだそうです。
この馬は上原厩舎なのですが厩舎の先輩で皐月賞馬でもあったダイワメジャーの時と同じぐらいの自信があると言う話をレース前にしています。
私はそんな訳あるかと信じなかったのですがそれは本当であったようです。
メジャーもスプリングSを人気薄で3着して権利を取り、皐月賞も人気薄で優勝でした。着順はガロアの2戦と逆ですが、こうしてみると確かにダイワメジャーと似たような戦績になりました。
不思議なこともあるものです。
3番人気の支持を集めていたサトノフラッグでしたが掲示板を死守するのが精一杯でした。
直線を向いた時点では良いコースを良い感じに上がってきていたなと思います。ドンピシャか?とさえ思えたほどだったのですが、そこから伸びあぐねて5着。
期待していたので何か理由でもあるのか?と探してみたのですが、3強の中ではこの馬が1番よい環境でレースをしていましたのでそれらしいものはありません。
最後も大して抵抗出来るでもなく、脚もなかった感じでした。
5着と言う着順は置いておいたとしても、上位2頭との差1.1秒(6馬身半)は致命的で、これは完全に力で負けています。
管理する国枝調教師も残念そうに「右にもたれてガス欠みたいになっていた。少し離されているし負け過ぎ。」と厳しい評価をしています。
力は出し切れる状態でしたし、弥生賞で勝っている条件なので適性的問題の可能性も考えづらく、そして不利もない。
これでは擁護のしようがありません。評価を落とさざるを得ない状況です。
次走見直し対象馬
今回は大きな不利が特になく、力を出し切れている馬がほとんどなのでコレと言う見直し対象馬はいないのではないかと思います。
ただ、GⅠ馬2頭以外の中間層がほとんど好走していないので簡単に触れておきます。
4番人気ヴェルトライゼンデは、4コーナーでノメっていたそうなので馬場の影響をしっかりと受けているようです。
新馬戦が重馬場、萩Sが稍重と結果を出してはいましたが、それも弱い馬を相手にしたものなのでクラスが上がるとそこまでではなかったと言うことなのでしょう。
重馬場はこなす程度で巧者と言う認識はもうしない方が良さそうです。萩ステで騎乗していたスミヨン騎手も良馬場ならもっと良いと言っていたくらいなので。
重馬場の場合、今後は相手関係を吟味して判断する必要がありそうです。
5番人気クリスタルブラックは豪脚を繰り出すことなく下位のまま。最後にはもう手応えが無かったのだそうです。脚がたまっていなかったのでしょう。
ペースはイーブンでしたから馬場が堪えた可能性はあるかもしれません。ただ、かなりのメイチでやっていたのでその反動の可能性はあったかも。
6番人気ダーリントンホールは向こう正面でポジション取りに失敗してしまった印象で、取りたい位置を取れなかったのが痛かったと思います。
そのせいで外に振られ過ぎてしまいました。
騎乗ミスの可能性もありそうですが、その際にちょっとズブい感じも見せているのでその影響もあったかもしれません。
いずれにせよ結果6着と人気通りには走っているのでそんなものと言えばこんなものなのでしょうが。