【回顧】 金鯱賞
こんにちは。
金鯱賞の回顧をしていきます。
サートゥルナーリアVSその他という構図で行われた金鯱賞でした。ただ、角居厩舎以外のその他の陣営は潔く白旗を挙げていて完全な1強状態です。
5連勝中の上がり馬ロードマイウェイ陣営に勢いで大物食いをしてやろうという気概はなく、ギベオン陣営に至っては最初から2着狙いに徹すると話していたほどです。
リスクを背負って勝ちにいくような陣営はほぼいませんでした。強いて言えば2着サトノソルタスの堀調教師が少々元気であったぐらいです。
サートゥルナーリア以下の着順を11頭で取りあう事だけのちょっと空しい感じのするレースだったと思います。
他陣営のそんなモチベーションはレースにもしっかりと反映されたいました。1000mの通過は63.6秒と非常に遅く、それで前が残り、後ろからでは届かないという展開。
レース全体がだらしのない内容で、とてもGⅡの別定とは思えません。迫力さが全くないレースでした。
また、こんなペースでも前を潰しに行くような馬もなく、どの馬もマイポジションでじっとしています。
各馬は最初からナーリアの出方待ちで競馬をするつもりでいたからこうなったと言えるので、1強体制の構図がレース形成に大きく影響したのは明らかです。
逃げたダイワキャグニーの内田騎手もこうなるんだろうなぁと達観していたのではないでしょうか?ペースをどんどん落として行って、やりたい放題な感じです。
3F目・4F目で13秒台の遅いラップを連続させていき、よくそこまで落とすもんだなぁとむしろ感心してしまいます。
ダノンプレミアム(61.0秒)が勝った昨年よりも、スワーヴリチャード(63.0秒)が勝った一昨年の様なレースになるだろうと予想時に申し上げました。
概ねこの指摘通りの結果でしたけど、今年はスワーヴの時よりさらにスローな展開になっているのでやはりちょっと物足りないですね。
同じ条件で行われて今回のメンバーも3頭出走していた中日新聞杯(GⅢハンデ)の方がレースとしてはよほど締まったレースでした。
よって、今回は単純な上がりの競馬となってしまい、道中のポジションの結果で着順が決まったようなところがあるのでしょう。
最後の3Fでどれだけ速い脚を使えるか?瞬発性能だけが試されたレースで、底力の様なものは一切求められませんでした。
こんなレースですから、前を行った2・3着以外は力なんて出し切っていないと思います、どの馬も。
様々な分析をしたところで、威張れるようなストロングポイントを示せた馬は出てこないと思います。
なので、レース内容の回顧はこんなもので十分でしょう。残りの候は各馬の状況や、感想程度のもしかかけないと思いますが、ご了承ください。
さて、サートゥルナーリアについてです。
冒頭触れたように他陣営に敵う相手ではないという事が周知徹底されているような情勢でした。打倒を謳う厩舎などどこにもいません。
この馬が本当に左回りが苦手だったらその隙をついて負かしに行こうって風に普通はなるのですが、そういう話は全く聞く事がありませんでした。
これはつまり、競馬サークル内でもナーリアを「左回りが苦手な馬」と考えていた関係者が誰もいなかったという事の現れなのです。
生産者の思惑としてもそれは同様です。本当は左回りだって大丈夫なんだよと言うことを認知させるためにあえて金鯱賞を選んだというのが実態です。
日本ダービー、天皇賞秋と府中で結果を出せなかったことで、左回りは走れない馬という評判をどこかで払拭しておく必要を感じたのだそうです。
これをそのままにしておくと引退後の価値にも影響が出てしまうんで、それを避けたかったからだろうという話になっています。
レース内容に見るものは全くありませんでしたけど、左回りOKと言うことを証明できたことは目論み通りの結果なので、ナーリア陣営には収穫は大きかったと言えます。
それにしても平常心で挑めば、この馬は全く引っかかることがありませんね。
神戸新聞杯の時は今回以上の超ドスロー競馬だったんですけど、その時も2番手で折り合いをつけ、32.3秒と言う中距離では究極以上の上がり脚を繰り出していました。
ルメール騎手が今回のようなペースでも動じなかったのは、神戸新聞杯で経験していたからちゃんとわかっていたからなのだと思います。
ヨーイドンの競馬で極上の末脚を使えることが。
だから4コーナー手前でも上がって行くような事はなく、本格的に追い出したのも直線に入って100mぐらいからでした。
それも追うだけで、鞭を入れる事もありません。ゴール前では後ろを振り返る余裕ぶり。
この程度の挙動で記録された上がりは33.2秒の最速でした。他のメンバーとは搭載エンジンの性能が段違いと言うしかありません。
この点は確認するために中日新聞杯2着だったラストドラフトと比較すると視覚的に理解しやすいと思います。
4コーナーで1馬身ちょっとしかなかった差がゴールでは3馬身ちょっとに拡げられてしまいました。上がりの速さでシンプルに負けています。
突き放され方も一瞬でナーリアの瞬発力にドラフトが付いていけていないのがよくわかります。
ドラフトも33.5秒で2位上がりでしたけど、一杯に追われてこの差ですから・・・。しかも、2k差もらっていましたし、いかにナーリアの瞬発性能が高いかと言う事です。
正直に言って、今回は能力の比較が出来るような相手関係ではありませんでしたね。他の陣営が無条件降伏してしまったのも仕方無い話です。
しかし、こういうレースが出来たのも平常心でレースに挑めていたからにほかなりません。
今後はいかにしてその状態にもって来れるかによります。それが出来ていればどの馬にも大体負けないはずです。
よって、この馬の現状の課題は2点です。
テンションを上げるトリガーとなる府中競馬場の施設面。そして、調整が難しくなる2戦目のローテション。
弱味がこれだけはっきりしている馬なので馬券を買う方としては扱いやすくていい馬だと思います。これに該当しない時は安心して馬券の中心にすることが出来そうです。
重視、軽視のタイミングが図りやすいと思うので、人気に振り回されることも無くなります。付き合い方を間違わなければかなり儲けさせてくれる馬なのでは?
なお、課題2点についてですが、これは成長に伴い気性の改善が見られれば払拭されることもあるでしょう。
しかし、施設面については手をつけらんないのではないかと思います。可能なら2・3日に無意味に府中で過ごして、スクリーニングでもしておく他ないですね・・・
2着のサトノソルタスにも少々触れようと思います。今回は堀厩舎が頑張って馬を矯正していたのが印象的でした。
抜けだすと気を抜くところがある馬なので、前走からブリンカーをつけているのですが、これに一定の効果があったようです。
中日新聞杯でも進路が空いてからしっかりと伸びていたので厩舎も手応えを感じていたようです。
しかし、それだけで満足しないのが堀厩舎の良いところです。
併せ馬の際に意識的に先に抜け出すようにして、最後まで我慢させるよう調教で工夫していました。
悪癖をどうにか抑え込もうとその努力に余念がありません。
昨年暮れの朝日杯FSの特集でサリオスにも調教を工夫することで弱点をなくそうと努力していたと話しましたが、今回もそういう姿勢が顕著に出ておりました。
人間側でしてやれることは何か?そこが分析出来て、行動に移せるところがこの厩舎の凄いところだと思います。
スタッフから訴えられたブラック訴訟がきっかけでリズムを崩していた堀厩舎ですが、最近は上がり調子なのではないかと感じることが増えてきました。
GⅠ戦線を再び賑わす日もそう遠くないように思います。
2番人気10着敗退のロードマイウェイは少々気の毒な所がありました。
こんなペースで後方からレースをしていた川田騎手でしたが、そんなポジションになってしまった原因があります。
発馬後に内にいたブレスジャーニーがヨレて来て、外にいたジュンヴァルカンとの間に挟まれてしまいポジションが最後方まで下がってしまったのです。
頭のいい川田騎手が今回の展開を想定していなかったとは思えませんし、あそこまで下げるつもりなんてなかったと思います。
「川田~、なにやっているんだぁ~」と言う前にレースの動画を是非ご覧頂きたいと思います。
ただ、少々テンションが高かったようでゲートの中でチャカチャカとやっていたようです。
それが無かったらもう少しマシなスタートを決めれていたでしょうから、アクシデントに巻き込まれることもなかったかもなぁと思います。
純粋に馬の状態面があまりよくなかったのかもしれませんね。今回がガス抜きとして作用しているなら、次走で巻き返す可能性は大いにあると思います。