【回顧】 チューリップ賞

 

こんにちは。

 

 

桜花賞トライアル・チューリップ賞のレース回顧をしていきます。

 

 

想定通りに阪神JF上位馬の再戦となりました。2歳女王レシステンシアが後ろに回り2・3着が繰り上がて1・2着と言う結果です。

 

 

1着マルターズディオサと2着クラヴァシュドールのハナ差は、2・3着だった阪神JFと全く同じ着差というのも面白い所ですね。

 

 

この2頭はこの3ケ月でしっかりと馬が成長していたという話がありましたから、成長の上げ幅もほぼ同じだったということなのかもしれません。

 

 

ですが、レースに賭ける意気込みの部分でこの2頭には明らかな差がありました。

 

 

上位馬の中では最も賞金の少ないクラヴァシュは今回勝ち負けの意欲が高く、本番が心配になるほどに仕上げていたそうです。

 

 

同じ厩舎のリアアメリアを桜花賞に直行させたのもその一環であり、ここはクラヴァシュを勝たせるための施策だったのではないかとも言われています。

 

 

賞金加算も権利も取れた結果でしたから目的は概ね達成されたことでしょう。ですが、負けてしまったという結果は素直によろけべないところです。

 

 

またレース内容においてもマルタに劣っていると言わざるを得ません。

 

 

クラバシュが最内であったのに対し、マルタは大外から2番目の8枠13番。この枠差は圧倒的にクラバシュが有利な状況です。

 

 

ラチ沿いで完璧に脚を溜められていたクラバシュに対し、外枠から出していき道中も外々を回っていたマルタはロスの多い競馬でした。

 

 

この内容で追い負けてしまったことは見た目の印象以上にシビアだと思います。

 

 

しかも、マルタは本番への余力を残しての結果でしたから、クラヴァシュ陣営のショックは小さくないはずです。

 

 

逆を言えば、それだけマルタのポテンシャルの高さを物語ると言えるのでしょう。

 

 

既に申し上げたようにレース内容は完勝と言っていいもので、ケチをつけるところを見つけることが出来ません。余裕残しでこの結果ですから、前途は有望です。

 

 

かつてはスタートで遅れてしまうこともありましたが、今はそういう気配を見せることはなく、今回も素晴らしい発馬からレースの流れにすんなり乗れていました。

 

 

欠点がなくなりつつあるのはいいことですね。

 

 

厩舎筋ではとにかく馬の成長が素晴らしかったと話ていました。「どの馬も成長して出て来ると思うが、ウチのも全く負けていない」と言う強気でした。

 

 

具体的には、桜花賞特集に回しますけど、精神面が向上したことで走りに余裕が生まれ、前進気勢が強くなってきたのだそうです。

 

 

押さないと行かない馬が自ら行くようになってきたのは大きく、レース中のオプションがかなり増えたのだろうと思われます。

 

 

また、今回2歳女王を破ったことで、この路線の中心にいる全ての馬に先着したことになります。

 

 

残っているのは未対戦のミヤマザクラと2戦2勝でエルフィンSを勝ったデアリングタクトぐらいのものでしょう。

 

 

この対戦成績なら今年の牝馬路線を牽引している馬と言ってもいい存在になりました。

 

 

馬主(冠名)や出自(非ノーザンF)からとても地味な印象がありますが、桜花賞をこの馬が勝ったとしても驚けない事態となって来ましたね。

 

 

叩いた効果も期待できる本番はさらに上の走りを披露することも可能でしょう。

 

 

なお、レース後は栗東に居座って調整されるようです。まぁ、当然そうなりますよね。これで本番まで完璧に仕上げることが出来ると思います。

 

 

とにかく明るい材料しか見当たらないので、関係者も本番が楽しみでしかたないのではないでしょうか?

 

 

さて、レシステンシアです。今回は3着で阪神JFで大いに引き離した2頭に逆転を許す結果となりました。

 

 

阪神JFの圧勝ぶりから絶対女王の様な扱いにまで昇華してしいて単勝オッズは1.4倍の圧倒的な支持。

 

 

この馬が負ける姿をほとんどの競馬ファンが想像すらしなかったということです。そんな馬がどうして負けてしまったのでしょうか?

 

 

その理由は簡単です。トライアルの走りに徹していたからでしょう。

 

 

私はハナにはいかないだろうと考えていたのですが、発馬の上手さ、初速の速さが素晴らいですね。天性のスピード能力が発露していた感じです。

 

 

結果的に今回も阪神JFのように逃げの手を打つことになしました。しかし、戦法は同じでしたがレースの内容は似て非なるものとなりました。

 

 

阪神JF:3F通過33.7秒、1000m通過57.5秒

 

チューリップ賞:3F通過35.1秒、1000m通過59.3秒

 

 

同じコース、同じ距離、同じ開幕2週目でほぼ同様の環境で行われた2レースでしたが、今回の方が各指標で1.5秒~1.8秒も遅いペースで進んでいきました。

 

 

要するに、控えた競馬をしたということでしょう。

 

 

逃げた馬に対して控えるという表現は間違っているのでしょうが、そのスピードが抑制されていたことは数字が物語っています。

 

 

阪神JFはスピードまかせで馬の長所を最大限に発揮する競馬でした。頂上決戦のGⅠ戦ですし、肉を切らせて骨を断つ作戦には意味があったと思います。

 

 

しかし、トライアルの前哨戦でそんな目一杯な競馬をしていたら本番にオツリは残りません。

 

 

目標が先なら余力を残したレース展開も責められるものではないですね。その結果が瞬発力勝負を誘発してしまい、2頭の決め手に屈した格好となりました。

 

 

厩舎側も「まず崩れることはない」とは言っていましたが、勝ち気がない言い方とも取れました。

 

 

目一杯の競馬をここでする必要はありませんので、無難な乗り方で本番につながる競馬を選択したんだと思います。

 

 

大きく崩れたわけでもありませんので、トライアルとして良い内容だったと思います。結果を悲観することもないでしょう。

 

 

それにヨーイドンの競馬だと決め手がない事も判明し、瞬発力勝負になると上位2頭に分があることも分かりました。

 

 

(蛇足ですが、今回のようなレースだったら阪神JFで1番人気に支持されていたリアアメリアでも余裕で勝ち負けに加わっていたのではないかと思います)

 

 

トライアルでそういう弱点を認識できたことは悪い事ではありません。この部分を修正するような調整も出来ますし、レースプランも再構築することが出来ます。

 

 

課題を見つけて本番へ向けて修正を出来るのも、トライアルの有効的な活用方法です。

 

 

この結果からすれば、阪神JFの様な速いペースで運ぶ競馬に戻してくるんだと思います。そういう競馬が出来ればGⅠ制覇の再現も可能なことでしょう。

 

 

でも・・・

 

 

阪神JFは人気が薄かったことも幸いしていましたし、桜花賞はマークがきつくなることも想定されます。

 

 

また、レコードが出る高速馬場でイン前有利だったあの状況を開幕7週目の桜花賞時に望むのは無理筋です。

 

 

同じ競馬をしてみたところで状況が大きく変わっている可能性が高いと思います。桜花賞の条件がこの馬に適しているかは思案のしどころではないでしょうか?

 

 


他で気になるところにも簡単に触れておきます。

 

 

阪神JF4着だったウーマンズハートでしたが、その阪神JFで先行してしまったことが影響して行きたがるようになってしまったそうです。

 

 

前進気勢が強くなっているので、前走と同じ競馬をしては本番で手が付けられなくなってしまうということで、今回はガス抜きするのが狙いであったそうです。

 

 

折り合い重視で結果度外視のレースと言う認識が陣営にはありましたから、今回の結果は気にしなくてもいいでしょう。

 

 

格下の馬に先着を許したのも仕上げの問題なのでこれも気にしない方がいいと思われます。

 

 

使った効果、本番までの調整次第で巻き返せる可能性を持っていると思われます。これで人気が下がるなら穴馬としての旨味が熟成されていくでしょう。

 

 

フェアリーS勝ちを評価され一時は2・3番人気まで支持が上がっていたスマイルカナでしたが、掲示板にも乗ることが出来ませんでした。

 

 

これもレシステンシア同様に行かないと持ち味が出ない馬ですね。バテてはいませんでしたが、ヨーイドンの競馬に対応出来ませんでした。

 

 

逃げた場合は3戦3勝。控えてしまうといつも7着。これだけはっきりしていれば本番は逃げないと話にならなそうです。

 

 

そうなって来るとレシステンシアにとっては嫌な存在になってくるかもしれません。