【回顧】 大阪杯

 

こんにちは。

 

 

大阪杯の回顧をしていきます。 

 

 

1・2着馬が並走しながら3番手を行き、3着馬がハナを行った馬の逃げ残り。上位3頭の通過番手を確認ると単純な前残りの競馬です。

 

 

1000mを60.4秒で通過していたことで解説者はスローペースと言う話をしています。確かにGⅠレベルのレースなら決して速いとは言えないペースです。

 

 

ただ、だからと言ってこのレースが単純な上がりの競馬出と言う事でもありません。むしろレベルの高い1戦と評価できると思います。

 

 

なぜなら、このレース内容はスワーヴリチャードの強さが大絶賛された一昨年前とほぼ同質のレース内容だからです。

 

 

今年の大阪杯は前半の60.4秒に対し、後半の1000Mは58.0秒で進み、極端な後傾ラップとなっています。

 

 

このラップ構成の点でスワーヴリチャードの時と類似しています。スワーヴの時は前半61.1、後半57.1秒と言う配分でした。

 

 

前半が今年の方が速い分だけ、後半に少し時計要していますが、それとて1秒に満たないものです。十分評価出来る内容だったと思います。

 

 

わかりやすく言えば、昨年引退してしまったマルターズアポージがレース序盤でぶっ飛ばしていたような展開を1000mを通過してからやったようなものです。

 

 

マルポは中距離のレースを58秒台でビュンビュン飛ばして行くような馬でした。今年のダノンキングリーが後半記録した58.0秒はそれ以上のスピードです。

 

 

マルポの場合は余力たっぷりの前半に記録したものに対し、ダノンキングのそれはレースを半分終えてからのそれであります。

 

 

どちらがしんどいかは言うまでもありません。

 

 

カデナの様な格下が追い込めてしまうあたりも、前がいかに厳しい展開だったかを物語っていると思われます。

 

 

ラスト1000mに渡りスピード比べが繰り広げられたレースと解釈すれば、レースの見方も変わってくるでしょう。

 

 

長い区間で11秒台の連続ラップを強いられているので、こういう流れだと弱い馬から脱落していくものです。

 

 

上位に来た馬はGⅠにふさわしい強さと速さをしっかりと発揮していると思います。レースの中身は非常に優秀だったとしていいのではないでしょうか?

 

 

逃げてこのラップ構成を作り上げたダノンキングは、終始ジナンボーに絡まれながらのものでした。展開面から見てもこの粘り腰はとても脅威的です。

 

 

ダノンキングのスピードの持続力、それを可能にする心肺機能の高さはどれをとっても素晴らしい競争能力と言ってよさそうです。

 

 

この内容で負けたらもう仕方ないと思うのですが、これだけの内容でしたから非常に残念な結果でした。

 

 

強いて言えば、やはり本質的には距離がもう少し短い方が良いんだと思います。2000mは少々長いのでしょう。

 

 

距離適性を超えるレースなのでもう少し自分に都合の良いような楽なペースでもよかったかもしれないなぁとちょっと思います。

 

 

また、輸送もやはり良くなかったようです。

 

 

案の定、輸送後に体重は減ってしまっていたそうです。輸送下手な所もこの馬には気の毒なところでした。

 

 

ただ、現地入り後に少しでも調整できるようにと木曜輸送をしていましたから、それで持ち直せたところもあったのだと思われます。

 

 

これは陣営の見事な判断でした。

 

 

ただ、やっぱり距離・輸送と言う点でこの馬には大阪杯がベストの条件ではなかったことは間違いがなさそうです。

 

 

とにかく、このレースで一番強い競馬をしたのは間違いなくダノンキングリーだったという事は断言しておこうと思います。

 

 

さて、勝ち馬は牝馬、2着馬も牝馬。今年初参戦した牝馬2頭が歴史を変える結果となりました。

 

 

ライラックは前2頭とは離れた3番手を追走していました。こういうペースを前で受けながら一脚使えているのですから、この馬の能力も疑う余地がありません。

 

 

強い競馬だったと思います。

 

 

 

休み明けの中山記念で見せた反応の鈍さも今回は見せることがなく、スタート、勝負所と要所要所で素晴らしい反応を見せていました。

 

 

叩いたらキッチリと変わるタイプなんでしょうね。上積みの大きい状態でこのレースを迎えたことが大きな勝因の1つです。

 

 

また、仕掛けをワンテンポ遅らせていてデムーロ騎手も見事だったと思います。この方にしては見事なスタートでしたし、あのポジションを取り追走出来た事も素晴らしかったと思います。

 

 

とは別に、1つ注目しなければいけないところがあります。

 

 

負け続けていた時は強気な競馬が裏目に出ていた馬でしたが、控える競馬をすることで終いまでしっかりと脚を使えるようになりました。

 

 

そのおかげで近況は安定した成績を残してもいました。

 

 

しかし、今回は3番手から積極的な競馬でともすればこの馬が負けていた時の競馬をしていたことになります。

 

 

にも拘わらず、今度はしっかりと伸びきりGⅠ3勝目を上げることが出来ました。

 

 

これは明らかに馬が進歩している証拠だと思います。自在性がかなり増しているのではないでしょうか?

 

 

ライラック自身が強くなっているのだと思います。こういう競馬が続くようだとこの先も取りこぼしを想定しにくくなって来ます。

 

 

今後は予想の中心に据えざるを得なくなって来そうです。かなりアテに出来る軸馬になっていると思います。

 

 

なんだか成長曲線のあり様がどこかリスグラシューに似てる気がしませんか?もし本当にそうなら次走も楽しみになって来ます。

 

 

3歳時に嫌と言うほど苦杯を飲まされたアーモンドアイに一矢むくいる日が近づいているのかもしれません。

 

 

2着クロノジェネシスもさすがの安定感でした。これで10戦目でしたが9度(5勝2着2回3着2回)は馬券になっています。

 

 

戦う相手が徐々に強くなって来ているのですが、それでも結果を出し続けるのですからほんとエラい馬だと思います。

 

 

今回は枠の差、仕掛けの差で負けたという印象で着差からもライラックと大きな力差を感じさせませんでした。

 

 

外枠からポジションを取りに行かなければいけなかった手間や、ライラックよりも外目を追走せざる得なかった展開などを考慮すれば、むしろジェネシスの方が厳しい競馬をしていたという事は言って差し支えがないでしょう。

 

 

ライラックとはこれで2戦2敗となってしまいましたけど、対戦成績ほど力差を感じませんでした。どこかで再戦なれば逆点することも可能なのでは?

 

 

この2頭のライバル関係も今後続いていくなら競馬が面白くなるのではないでしょうか?

 

 

 

その他の有力馬も一応触れておきます。

 

 

5着ワグネリアンの脚が伸び始めたのはゴールまで100mを切った頃で時すでに遅しです。やはりエンジンのかかりが遅い馬ですね。

 

 

スタートも決まり、レースの流れには乗れていましたから、案外だったという他ありません。

 

 

勝負仕上げで挑んでいただけに期待していたのですが、どんなに立派に仕上げても馬の本性までは変えられないという事なのかもしれませんね。

 

 

やはり東京でないとこの馬の持つ力はフルに発揮されないのでしょうか?だとしたら春競馬がつまらない馬と言うことになってしまいますが、それでいいんでしょうか?

 

 

7着ブラストワンピースですが、この馬のコメントをするのはつらいですね。

 

 

強いて言えば、スタートでポジションが取れずに後方からの競馬になりました。

 

 

後ろからの競馬になったら、外目をマクらざるを得ないというのは理解できるのですが、その手そのものがこの大阪杯では禁じ手です。

 

 

どの馬よりも早めに仕掛けなければいけない位置ですし、外を回ることで脚を余計に擦り減らすことになります。

 

 

そんな運びで最後に脚が残るはずがありません。各馬と大きな力差がない以上はこういうロスは致命的になります。

 

 

このような競馬では有利に運んだ馬との差は歴然と出てしまうものです。

 

 

川田騎手もあんなポジションでレースをするつもりはなかったんでしょう。ただ、もう少しチャンスのある乗り方は出来なかったものかと思います。

 

 

外を行ったら負け確定なのですから、だったら詰まってしまうリスクを背負いがらもイン突きに賭けた方が可能性は残っていたのではないでしょうか?

 

 

特集でも指摘したんですけど、川田騎手はプラン通りに運べれば上手なんでしょうが、不慮の事態に直面した時の対応力はほとんどないですね。

 

 

だからこれだけ有力どころに乗りながら、GⅠを中々勝てないんだと思います。付き合い方を考えないといけないかもです。

 

 

最後に武豊騎手の話を少々しておきます。

 

 

前週の高松宮記念同様に今回も離れた最後方を追走しただけで終わってしまいました。

 

 

高松宮記念のアイラブテーラーはレース当週に寝違えて調教できずに無調教でレースに出走していました。そんな馬では競馬どころではありません。

 

 

レースも回ってきただけで鞍上も何もやらずに17着馬から11秒も遅れて入線した超大差負けでした。

 

 

さすがにこれは論外でよさそうです。

 

 

そして、今回のロードマイウェイはゲートを出た後に脚を捻ってしまったようで、無理せず後方を回って11着馬から5馬身差の最下位入線。

 

 

これもアクシデント扱いでいいでしょうから、言うに及びません。

 

 

今年はトライアルやらステップレースやらを勝ちまくっていましたけど、肝心な所で運に見放されているようです。

 

 

こんな競馬ばかりだと温厚な武豊騎手でもさすがにストレスがたまっているのではないかと勘繰ってしまいます。

 

 

そんな武豊騎手は桜花賞で2歳女王レシステンシアの騎乗が決まっています。この馬は強力な先行馬です。

 

 

少なくともここ2週の様なレースにはならないでしょう。勝かどうかはともかく、この馬で後ろから競馬をすることはさすがにないと思います。

 

 

武豊騎手にとってストレス発散にはもって来いのレースとなりそうです。