【回顧】 中山記念
こんにちは。
無観客で行われたことで面白いことも起こりましたね。
阪急杯でダイアトニックの進路妨害が起こった際に、被害をモロに受けたフィアーノロマーノ騎乗の川田騎手の怒声がレース動画で確認出来ます。
さすがにはっきりと確認できませんので気のせいかもしれませんが、トラブルのタイミングで誰かが何かを叫んだことだけだけは間違いがなさそうです。
興味のある方はJRAのHPのレース動画をフルボリュームで聞いてみて下さい。
それでは、中山記念の回顧をしていきます。
行くだけ行ってというスタイルでここ数年の競馬を盛り上げてくれたマルターズアポジーでしたが、今回の1000m通過は59.3秒でした。
中距離なら58秒前半でビュンビュン飛ばすというイメージがありましたが、全盛期の逃げっぷりと比べるとやはり衰えていたんだなぁという感じです。
それにこんなペースで行っても今は全く粘れていないのも現状を物語っているのでしょう。ラストランということを嫌でも感じさせる寂しい内容のものでした。
それでも久しぶりにこの馬らしい逃げを打てたのではないかと思います。近走はスプリント戦とか、ダート戦を使われながらもがいていましたから。
最後にベストの条件で走れてよかったのではないかと思います。
個人的にはキタサンブラックに果敢に挑んだ16年の有馬記念が1番印象に残っています。8歳までお疲れ様でございました。
そんなマルポのペースで進んだ今年の中山記念でしたが、11秒台後半のラップが淡々と続いたのですがGⅠ級のメンバー構成ならそれほど苦もないペースです。
その割には最後の上がりは全体的に物足りず、ラスト2F目に11.3秒のラップが記録されただけでラストの1Fも12.1秒と落ち込んでいます。
GⅠ馬が5頭も出走していたことを考慮すると、ペースは遅いと断じて良く、レースの中に厳しさというものを見出すことが出来ません。
持続力も、瞬発力も問われることはなく、ステップレースを無難に終えたなぁという印象ぐらいしか残りませんでした。
勝ち時計は例年と比べて遅いということではないので価値がない事ではありませんが、見るべきものは何も見つかりません。
その辺は入着馬の通過番手を確認してもご理解頂けることでしょう。
前を行った2頭がバテて、その後ろにいた馬が繰り上がっただけという理解でいいんではないでしょうか?開幕の中山ならよくある風景ですね。
展開に逆行してすごい脚を見せた馬もいませんでしたし、各馬が無難にレースを終えたとするのが妥当な表現だと思います。
こういうレースの結果は良いも悪いもありません。
叩き台としていかに機能したのか?レース後から本番までその効果がどれほどあるのか?そこを測るぐらいしか当面はすることがなさそうです。
それでも一応、上位入着馬にコメントを入れていきます。
勝ったダノンキングリーですがこの馬の重賞3勝は面白いですよね。全て1800m戦ですし、全てのレースでGⅠ馬を負かしています。
これではもう完全な前哨戦キャラと言うことになって来ます。
共同通信杯は使っていた強みを行かしてアドマイヤーマーズを完封。毎日王冠は3歳馬ということで54kでの出走。中山記念はGⅠを勝っていないことで56kでの出走。
3勝全てがローテや斤量的なアドバンテージを利した勝利と言えなくもありません。
今回も勝つには勝ちましたけど、本番前の前哨戦でよくある結果であり、この馬のキャリアはそういう点がとてもよく反映されています。
本番(多分大阪杯)に向けて評価できるような内容をレース中に残してくれていればよかったのですが、あいにくレースは平凡でした。
それほど嫌いな馬でもないので必要以上に褒めてあげたいところなのですが、無難過ぎた結果であまり褒められるところがありません。
この馬に必要なのはもうGⅠタイトルだけなので、本番までの調整に期待したいと思います。
2着のラッキーライラックもいい競馬でしたけど。
道中は勝ち馬ダノンキングリーからつかず離れずのすぐ後ろを追走。しかし、使えた上がり(34.2秒)が勝ち馬ダノンキングリーの上がり(34.2秒)と全く同じなので。
道中のポジション差を1ミリも詰めることが出来ませんでした。
脚質的な話は予想ページでしている通りで、今は控えて差す競馬が持ち味とされていまいますからキングリーの後ろにつけてしまうのも仕方の無いところです。
展開負けという評価を与えてもいいと思います。
それに、デムーロ騎手のレース後談話やレース中の挙動から察するに今はこういう距離だと忙しいような印象も受けました。
スピード優先の距離や展開はもう合わないかもしれないですね。
後方からレースをすることで心境を見せたのもバテない強みを末脚に転嫁して逆転しているからなので、極端なキレ味勝負などは今後避けた方がいいでしょう。
もう少しタフな展開で周りの馬がバテたところを差し込む方が今はいいのかもしれません。長く使える末脚を活かせるレースの方が向いていることいでしょう。
これではヴィクトリアMの勝ち負けは厳しそうだなぁと思っていたところ、さっそく次走が大阪杯であることが発表されました。
やはりそういうことなんでしょうね。
なお、キングリーの56kに対して、こちらは牝馬の55k。GⅠ勝ちで斤量が増されていましたので見直し材料は残せたと言えます。
始動戦としては合格点だと思います。
4着のインディチャンプもある意味予想通りの結果に終わった1頭でしょう。
最後はライラックと合わせ馬で追い込みましたが、それには追い負け、3着のソウルスターリングも交わせずに。
原因は休み明けだったから、斤量が58kだったから、マイラーなので1F長かったからなどいろんな事が考えられます。
恐らくその全てが少しづつ作用した結果だと思います。これだけ不利条件が揃っていれば今回の結果は気にしても仕方ありません。
でも、やっぱり1番の原因は勝負度合いだと思います。
福永騎手の乗り方は消極的でしたし、試走とか叩き台とかの内容重視の競馬だったのが結果に大きく影響したのではないでしょうか?
福永騎手は
レース前に「どうしても勝ち負けしなければいけないレースではない」という話をして
レース後には「使って次に良くなりそうな気はしていた。今日の内容なら本番が楽しみになった。」と話しています。
今回のレース結果に拘りをもっていなかったと思われます。叩き台という目的を持っていたなら、乗り方は責められないですし、結果も度外視で大丈夫なのでは?
次走は香港のチャンピオンズマイルと言う話をしていました。あちらの馬は強敵揃いですけど、今回の走りがそこで活きればいいですね。
最後に3着だったソウルスターリングにも少し触れておきます。
今度は取り消すことなくゲートインまでたどり着き、馬券にまでなる事が出来ました。
2歳女王2頭による2・3着争いに私はちょっと感動してしまいました。
でも、ペースは遅かったですし、開幕週の中山せんぱち。結局は先行していた馬に有利な流れで展開が向いたのは否めません。
今回は大いに恵まれていたのも事実でしょう。
同じ牝馬でともにGⅠ2勝馬の身分でありながらライラックから1kもらっている斤量です。さらに展開を味方にしながら交わさるのは力負けと言わざる得ないところです。
これが引退を前にした馬の現実と言えばそれまでですが、2・3歳時の輝きを思いだすとやはり寂しい結果だったなぁと感じます。
ところで、一応はここが引退レースということでしたが、もう1戦するようです。
結果次第でもう1戦と言うのは戦前で想定されていましたので、私は結果が良ければ万々歳で繁殖入りするんだろうなと思っていました。
しかし、藤沢調教師はもう1戦してもいいかなとレース後に語っています。
今回使ってダメなら上げちゃおうって言う話で、走れるようならもう1戦と言うのが本当のところだったようですね。
だとすると、ソウルスターは自分の力で現役生活を延長することになりました。その辺にこの馬の意地の様なものを感じます。
ラストランでも頑張って頂きたいものです。
なお、もう1戦するなら中山牝馬Sと言う話がレース前にあったので、引退レースはそこになるだろうと思われます。
今回の結果ででハンデが課せられそうな点は気になりますが、中山記念と同じ中山の1800m戦というのは悪くないかもですね。