【回顧】 阪神牝馬ステークス
こんにちは。
阪神牝馬ステークスの回顧をしていきます。
今年も前年の桜花賞で好走した馬が凡走してしまいました。
シゲルピンクダイヤ(桜花賞2着)・ダノンファンタジー(桜花賞4着)・ビーチサンバ(桜花賞5着)と4歳世代で昨年の桜花賞を走った馬はいいところがありません。
やはり1年経つと他世代と戦っていくので相手関係がまるで違う事が大きな要因になります。当時と同じようなレースにはなりません。
阪神牝馬ステークスはもうそういうレースでいいんだと思います。
だとしても今年の4歳世代が情けない結果になったと思います。
昨年暮れのターコイズSではこの世代が1~4着まで独占していたので、今回1頭も馬券絡出来なかったのは気になります。
ペース・展開
12.3-10.8-11.4-12.0-11.9-11.2-11.7-11.6=1: 32.9
2F目に10秒台が刻まれていて、34.5-58.4と流れていく前半にしっかりと負荷のかかるレースでした。
昨年よりも1秒半、一昨年より2秒半も速いペースでレースは行われ、過去2年と比較すると格段にレースの質が上がっています。
これは形成杯AHを逃げて日本レコードを記録したトロワザトワルの参戦が大きかったかもしれませんね。今回も果敢な逃げでペースを釣り上げていきました。
こういう流れなので後半に上がりが極端に高速化することはなく、使えて34秒台前半がいいところでした。
そうした流れでもしっかりと末脚を使えた馬が上位に来たと言う印象で1・2着の上がり33秒台は優秀だったと思います。
他馬が使えない脚を繰り出して決め手の優秀さが目につきます。
それと阪神の馬場状況もまだいいんでしょうね。厳しい流れを3番手追走していた馬が3着と粘り、ラチ沿い5番手追走の馬が直線で抜け出すという結果。
レース的にはイン前競馬でした。
まだ前が止まりにくい馬場状況なのでしょう。2着馬以外に外から伸びてこらた馬はおらず、外を回した組が不利になっていたようにも思います。
今回の1・2着はヴィクトリアMでも上積みを期待できそうな使い方をここでしていたので、質の高い前哨戦で好走出来たことは非常に有意義だったと思います。
サウンドキアラ・スカーレットカラーの2頭には良い前哨戦になったのではないでしょうか?
各馬評価
サウンドキアラはこれで重賞3連勝となったのですが、2連勝した時点で賞金的にはもう十分でした。
よって、今回は仕上げを一段落として本番にオツリを残した仕上げをしています。
かつ、陣営も阪神コースでどんな走りをするかが分からなかったので本番に繋がるレースが出来れば良いと、試走感を匂わせていました。
その程度の意欲で結果を出してしまうのですから、今はよほど強いんだ思います。
レース前までは京都で勝ち鞍全てを上げた【6・1・0・1】と言う成績、阪神コースは【0・2・2・0】と言う成績でした。
苦手と言う成績ではありませんが、結果の無かった阪神コースで結果を出せた点も大きな収穫でしょう。
この点は馬が成長している証かもしれません。
今回の阪神牝馬S組はほとんど次戦でヴィクトリアMに向かいますからそういうメンバー相手に圧勝出来たのは大きかったのでは?
全てとは言いませんが勝負付けが済んでしまった馬は少なくないのではないかと思います。
敵はグランアレグリア・ノームコアと言った未対戦のGⅠ馬ぐらいなものでしょう。本番も楽しみな馬と言う他ありません。
なお、重賞3連勝でヴィクトリアMと言うと2年前のミスパンテール(5着)とイメージがダブりますが、ミスパンテは本番ではガス欠気味でした。
既述したように、キアラは本番にオツリを残していましたのでまだ上積みを期待出来る状況です。
馬もどんどん強くなっている印象もあり、ミスパンテよりは良い状態を期待してもいいのではないかと思います。
2着のスカーレットカラーは普通なら完全な負けパターンだったのですが、よくぞ2着に来たものです。
直線入り口ではほぼ最後方というポジションで、この時点で既に馬群の中で詰まって行くところがありません。
そこからは馬群の中で徐々に前との差を詰めていくのですが、さらに狭いところに突っ込んでしまい本当はここで万事休すだったと思います。
あの窮屈な所に突っ込んでひるまなかったスカーレットの気持ちの強さは素晴らしい。左右の馬は弾き飛ばすように抜けてきました。
この局地戦に勝利したことでレースの勝ち筋がようやく見えてきました。
進路を確保できた時には残り100mぐらいだったのですが、そこから一気に前との差を詰めて2着浮上。
ゴール前になっても馬群が団子状態であったことが幸いしました。それで一瞬の脚だけでなんとかなすることが出来たのです。
2着とは言え冷や冷やもの競馬でした。
岩田騎手は狭い所から馬を捌くのは相変わらず上手いなぁと思う反面、それまでのレース運びが今回は良くなかったのではないかと思います。
もう少しスムーズな競馬が出来ていればスカーレットが勝っていたと思います。ちょっともったいない競馬でした。
その岩田騎手ですが、ここにはもう1頭のお手馬シャドウディーヴァも参戦していました。
岩田騎手も本当に大事にしている馬なので、今回もどちらに乗るか非常にに迷っていたそうです。
選択の決め手となったのは「シャドウディーヴァに勝てるだけの仕上がりにはしてあるから」と言うスカーレット陣営の殺し文句であったそうです。
実際、ディーヴァは12着と全くいいところがなかったのですからスカーレット陣営の熱意が勝った結果だったのでしょう。
スカーレットもディ―ヴァも次走はヴィクトリアMと言う事になっていますので岩田騎手の騎乗馬選びも注目が必要でしょう。
ディメンシオンが3着になったことで今年も人気薄の先行馬が絡み3連系の配当を押し上げることになりました。
ですが、近2年はスロー展開に乗じた人気薄先行馬が残って波乱を演出したのですが、今年はシビアな展開を先行して残したのですからこの結果は素晴らしいですね。
前2年と同じく人気薄でしたけど、流れが向いた好走ではありませんので3着と言う結果にフロック性はなさそうです。
では、どうして急に走ったのか?これに関しては状態や調子が上がっていたからとしか言いようがありません。
何かが劇的に変化したという事情は全くないので、正直好走理由が見当たらないのです。
強いて言えば、春になり暖かくなって来たからと言う感じは少しします。3連勝していた頃は夏場であったので寒いよりは熱い方が良い馬かもしれません。
次走見直し対象馬
ダノンファンタジーは馬体重+22kでした。私の聞いていた話では+15kぐらいだろうとの話だったので、それよりも重かったという事になります。
これまでも始動戦やトライアルなどの前哨戦を勝ちながら、肝心の本番で結果が出ない事が続いていました。
なので今回は意識的に調整を遅らせたのだそうです。
この馬は気性に難があるので、初戦で造り過ぎてしまうと2戦目で馬が煮詰まってしまい失敗パターンを繰り返してしまったという反省からそうなったのだそうです。
なので、今回の結果はあまり気にする必要がないでしょう。完全なたたき台仕様の造りになっています。それは目方増にもしっかりと表れていることです。
次走への上積み幅はかなり大きいのではないかと思います。
それに、レースぶりは昨年同様の強いファンタジーの走りをちゃんと出来ていたでしょう。
スタートは出ていましたし、すぐにポジションキープ、キツイ流れでもいつも先行スタイルで競馬が出来ていましたし。直線でも一瞬伸びそうな気配も見せています。
この馬の基本的な走りは今回も出来ていたと思います。それで伸びれなかったのはもう仕上げの問題です。
馬体重や中身の面でいつもの復帰戦と比べると雲泥の差がありました。悪い方に。
勝てればよかったのかもしれませんが、レースの流れに乗った5着なら順調な部類ではないでしょうか?
昨年からの能力減は確認出来ませんでしたので、次戦に向かた始動戦ならまずな評価で大丈夫です。
ただ、2・3歳時から懸念されていた気性の問題は残念ながら成長がほとんどなかったそうです。相変わらず行きたがってしまうのだとか。
その辺が成長してくれば大きいところに手が馬だとは思うんですけどね・・・