【回顧】 桜花賞

 

こんにちは。

 

 

桜花賞の回顧をしていきます。

 

 

デアリングタクトが怒涛の追込みで無敗の桜花賞制覇。鞍上の松山騎手はよろこびを爆発させています。

 

 

ですが、その喜びは誰に向けたものなのでしょうか?スタンドには観客がいません。モニターやテレビを通した私達に送ってくれているのでしょうか?

 

 

歓声がないのは騎手も寂しいのではないかと思います。松山騎手の様なフレッシュな方が優勝したことで、余計そのように感じてしまいました。

 

 

 

 

ペース・展開

 

 

12.4-11.2-11.3-11.6-11.5-11.7-12.6-13.8=1:36.1

 

 

降り出した雨で10Rには重馬場になり、11Rになっても降りやむことがありません。今年は雨中の桜花賞となりました。

 

 

レシステンシアは枠のせいか、雨のせいか、出たなりでジワジワ上がって2番手と言う競馬。ハナを取ったのは逃げ宣言していたスマイルカナでした。

 

 

数字的にはスピード競馬になっていませんけど、この状況にしてはレースは流れていてレース中盤に12秒台にペースが落ちることはありませんでした。

 

 

なので1000m通過は58.0秒と結構なペースで行っています。良馬場で行われた前日の阪神牝馬Sも速い流れでしたけど、それでも58.5秒です。

 

 

重馬場でこれではかなりのハイペースでしょう。

 

 

そのせいもあり最後はどんどん失速していきラスト1Fで1.2秒もラップがガタ落ちしています(13.8秒)。

 

 

上がり最速を記録した勝ち馬デアリングタクトの末脚ですら36.6秒とズブズブでした。

 

 

逃げたスマイル、番手だったレシステンシアに至っては38秒台と、最後は歩いているようなものです。

 

 

馬場&ペースとかなり厳しい条件が重なりレースはハードな消耗戦となりました。

 

 

逃げたのはスマイルかなデしたが、こういう締まった流れにしたのはレシステ騎乗の武豊騎手によるものでしょう。

 

 

スマイルはここまで逃げて3勝を上げたいた馬ですが、本来はこのように速いラップを継続させていくスタイルではありません。

 

 

良馬場でも12秒台までに落として息を入れながらポジション利を活かして最後に一脚使うと言うタメ逃げタイプです。

 

 

今回のような11秒台を連続してシビアな展開に持ち込む競馬はこれが初めてでした。

 

 

そんな馬がこんなペースで逃げたのは武豊騎手が2番手からレースを支配していたからです。

 

 

5F目にラップは多少上がっていように息を入れさせませんでした。この辺から武豊騎手のプレッシャーが始まっています。

 

 

それが4コーナ―まで続き、最後は直線を待たずに仕掛けています。決め手の無いレシステの個性を考慮すれば当然の運び方です。

 

 

武豊騎手も「やりたい競馬は出来た」とレース後に語っています。レシステの心配能力の高さをアテにした消耗戦に活路を求めていたようです。

 

 

肉を切らせて骨を断つ。捨て身のレースで勝ちに行ったレースだったのでしょう。その思惑はほとんどの面で成功しました。

 

 

でも、1頭だけ骨をつ事が出来ない馬がいたのは運がなかったとしか言いようがありません。

 

 

いや、ここは不幸だったというべきでしょう。レース上がりを1.5秒も上回る強力な脚力を持っていたデアリングタクトの末脚は破壊力抜群でした。

 

 

レシステ陣営にしてみたらこれで負けたら仕方ないという内容で、もう相手を褒めるしかありません。

 

 

 

勝ったデアリングには別格級の評価が必要そうですが、レシステも負けて強しの内容でした。それは3着と想像以上に粘着した3着スマイルも同様です。

 

 

各馬評価

 

 

勝ったデアリングタクトは初重賞チャレンジがこの桜花賞と言う事で主力メンバーとは未対戦の馬でしたが、2番人気と高い支持を受けていました。

 

 

これまでは後方からレースをしていたので、その末脚が強烈なインパクトを与えていたことでしょう。

 

 

ですが、これまでも32~33秒台と言ったキレる脚を使っていた訳ではなく、上がりを要する展開を34秒台で上がってくるという競馬をしていました。

 

 

こういう所に重馬場でも追い込めた要因を見出すことが出来ます。また、時計のかかる京都コースでの経験も有意義だったのでしょう。

 

 

中段以降を追走していた馬で上位まで追い込めた馬は他にいませんでしたから、この馬の末脚だけが突出していたという事です。

 

 

脚力が他馬と比較にならないほど優秀で迫力に溢れています。こういう競馬を見せられると能力が抜けているという表現を使わないといけなないところです。

 

 

思えば、2年前のアーモンドアイも2番人気でしたので、最強馬の称号はレースが終わってからでないと定まりません。

 

 

戦前にここまでのパフォーマンスを思い描くには戦績が十分ではありませんでした。ここが競馬の難しいところです。

 

 

ウィニングランで松山騎手は1本指を高々と掲げていました。3冠を意識しているのかな?とちょっと思ってしまいました。

 

 

が、それも不可能ではないと思うぐらいの圧勝ぶりだったと思います。オークスでも主役を担えそうです。

 

 

5月の府中は前が止まりにくい馬場で、この馬のこれまでの脚質では取りこぼしの可能性が多少あるかもしれません。

 

 

が、それも陣営には全く気にならないのではないかと思います。

 

 

「本当はどんな競馬でも出来るセンスのある馬」とこの馬の事を評価していて、これまでは安全に勝つためにああ言う競馬をしているに過ぎないのだそうです。

 

 

アーモンドアイもオークスで追込みスタイルから先行スタイルに馬場に合わせて脚質を転換させていました。

 

 

デアリングタクトにもそういう事が出来るだろうと、厩舎は考えているはずです。

 

 

レース後の反動があったり、仕上げを失敗しない限りはオークスでは馬券の中心と言う事になって来るでしょう。

 

 

2着レシステンシアの武豊騎手にとって誤算だったのはスマイルが想像以上に粘ってしまったことではないでしょうか?

 

 

ラスト1Fまでスマイルカナが張り付いて離れませんでした。

 

 

道中はプレッシャーをかけていたはずのスマイルに、直線では逆にスマイルからプレッシャーを受けていたような感じになってしまいました。

 

 

ようやくスマイルを振り切ったところでデアリングの強襲です。とても頑張っていたので、実に惜しい競馬でした。

 

 

前門の虎退治はなんとかなりましたが、後門の狼にまで手が回らなかったという印象です。

 

 

もう少し余裕を持って抜け出せていれば優勝の可能性は残ったかもしれません。

 

 

ですが、展開的にはとても厳しい流れをしのいで連対を果たしているのですから十分強い内容でした。

 

 

 

3着のスマイルカナもとても頑張っていたと思います。

 

 

レシステに執拗に絡まれ、4コーナーでも早めに来られているので逃げ馬のこの馬にはつらいところでした。

 

 

その割にはレシステを最後まで苦しめており五分に渡りあえていたと思います。馬場が味方した可能性もありそうですが立派な3着だったと思います。

 

 

それにしてもこの馬は逃げたら本当に強いですね。チューリップ賞では逃げないと良さが出ないという事がはっきりしていたので、陣営は何が何でもと行く構えでした。

 

 

前走で欠点をあぶりだせたことが桜花賞好走に繋がったのでしょう。この馬もまたトライアルで得た収穫が大きかったということです。

 

 

 

次走見直し対象馬

 

 

5着ミヤマザクラはノメりぱなし、6着サンクテュエールは馬場が堪えてラスト100mで止まり、5番人気だったマルターズディオサも馬場のせいで追走で精一杯。

 

 

各馬が重馬場に今回の敗因を求めています。

 

 

そういう事なら良馬場で見直せて来るので力負けの烙印をここで与えることもないでしょう。

 

 

馬場で泣いた敗戦馬は当然次戦以降の見直し対象馬と言う事になります。

 

 

なので、ここでは馬場の影響以外の物理的な不利が影響して負けた4着クラヴァシュドールを取り上げます。

 

 

スタートもよく、ポジションを取れていたので運び方としては良かったのですが、3~4コーナの中間で他馬に寄られて挟まれてしまいました。

 

 

デムーロ騎手曰くここで馬がひるんでしまったのだそうです。なのでポジションが2・3馬身程後ろに後退してしまいました。

 

 

このせいで、馬場が伸びる外へ進路取る手段を失ってしまいます。スムーズに外に出せていれば、直線伸びて来れたのではないかと思います。

 

 

結局は伸びない内目に進路を求めたのですが、馬場が痛んだインサイドでは一脚使ったところで脚色が一緒になってしまいそこまで。

 

 

不利が無ければ勝っていたとまでは言えませんが、脚は残っていたので2着馬ぐらいは交わせていたかもしれません。

 

 

今回はもったいない競馬でした。