【回顧】 フィリーズレビュー
こんにちは。
フィリーズレヴューの回顧をしていきます。
今年はとにかく速かったですね。
スタートは他に速い馬もいましたがそれを制して1番人気のカリオストロが行きます。
ただ、松山騎手がスタートで少しケツを落としてしまっているので他に遅れを取ってしまいハナに立つまでしばらくかかってしまいました。
12番人気だったナイントゥファイブの出脚も良かっただけでに、カリオストロはこれを交わしていくのに一苦労したなぁと言う印象です。
この2頭が緩めず行ったので3F通過は33.4秒でした。阪神コースでこの通過ラップは超速いですね。過去10年でも記録されたことのないスピードです。
しかも馬場は稍重でしたから数字以上にしんどいはずなんですけど・・・
こんなペースで行っていた2頭が3着・4着と残れてしまうという事はまだ馬場状況がいいんでしょうね。前が簡単に止まらな状態が続いているようです。
良馬場だったらレコードを更新していたんじゃないかと思います。
こういう状況で外を回してしまうと前との差が開くだけになるので届かないですね。今回は上位に来た馬がみな距離ロス無く内々を回って来た馬で占められていました。
1~7着までの馬は1枠の2頭、2枠の2頭、3枠の2頭、そして4枠の1頭となっているのはかなり特徴的です。枠による差配が極端なレースでした。
3番人気で9着と大敗を喫したアヌラーダプラ(7枠14番)は終始外目の追走で馬群を捌けないまま、結局馬場の外目に進路をとってしまいました。
今回の馬場傾向でこの運びではキツかったでしょう。
枠に泣き、流れにも乗れず、力を発揮することなく沈んでしまったという感じです。いい馬であるだけに今回はお気の毒なレースでした。
こんなレースを制したのが5番人気の伏兵エーポスです。
ゴール前の末脚は目の覚めるような迫力を感じます。前がガンガンやりあっていたのをまとめて差し切ってしまいました。
レース上がりは36.0秒とかかっており、11.5-12.0-12.5とゴールに近づくほど減速していましたので、とてもしんどいレースでした。
なので、エーポスが差し切れたのも結局は前が止まったからという事は言えてしまいます。
然しながら、上がり2位だったソーユーフォリア(15着)の末脚は35.8秒と時計を要していて、。エーポスのそれは35.1秒と1頭だけ飛び抜けていました。
次位に0.7秒も差があるのですからその破壊力は凄まじいですね。
他の17頭が35.8秒以上の脚を使えないレース構造でこの馬だけがこんな時計で走れてしまうのは理屈的には通らない話です。
次元の違う脚というのはこういう馬のためにある言葉なのだろうなぁと思ってしまいます。身体能力が抜けていたと認める他ありません。
こういう脚を本番でも使えるようなら桜花賞で出番がないとはとても言えません。桜花賞とは関連性が低いレースなのですが、今年はちょっと違っているかもしれません。
本番でも警戒が必要な1頭になるでしょう。ですが、本番への余力は果たして残っているのでしょうか?
12月の中旬にデビューして以降は月1出走の4走目でした。この間、462kだった新馬戦から体重を減らし続けて、ついに446kとなっています。
このトライアルの特性上メイチの馬も多く、この馬にもそういう懸念は残ります。だからこそ極上の末脚を使えたのかもしれませんし。
上積みは期待しづらいところですが、果たしてどうなんでしょう?
今回の強さが際立っていただけに本番まで調整内容をちゃんと確認していく必要があると思います。
2着のヤマカツマーメイドの走りこそが普通の馬の出来る最大限のパフォーマンスなのではないかと思います。
完全な勝ちパターンの競馬だったので池添騎手もまさか負けるとはって思っていなかったのではないでしょうか?今回は相手を褒めるしかありません。
ヤマカツも非常に濃い競馬をしていました。超ハイラップの流れを速めに行って、1度は完全に先頭に立っていましたので。
ただ、この強さが桜花賞での対応力に疑問を呈してしまうところは悲しいところです。
こういう持続力勝負で強いというのは、決め手が優先される桜花賞では真逆の適正です。このパフォーマンスがベストだとしたら、桜花賞に適しているとは思えません。
また、仮に桜花賞が持続力優先のレースになったとしてもそこには持続力勝負で超強いレシステンシアがいるわけで・・・
桜花賞でのハードルはかなり高いのではないかと思います。
ただ、この馬が走ったことで、あらかじめ話しておいた「フィリーズレヴューの法則」の有効性がまたしても立証されたことになります。
「前走距離」「阪神JF出走馬」そして「ファンタジーS5着以内」。これを満たした馬が昨年に続いて連対しました。
かなりの確率と言えるでしょう。これはもう鉄板則としていいかもしれません。
このレースも毎年難しいレースとなりますから、勝利の方程式が見えてきたことは来年に向けて明るい材料となるでしょう。
以下、3・4着はまとめて。
1番人気で果敢に逃げたカリオストロですが、ナイントゥファイブにマークされる形でしんどいレースだったとは思います。
ですが、既にハナに立っていたナインを交わしに行ったのはカリオの方です。先に喧嘩を売っているのですから、それで展開がきつかったというのは虫のいい話でしょう。
カリオ陣営としては「ハナじゃなくても競馬は出来る」と言う認識でいたんですけど、「この枠なら」行った方がいいだろうという作戦となっていました。
でも、ハナじゃなくても競馬が出来る馬ならあの状況なら控た方がいい結果だったと思います。人気を背負っていたのですから、そこは冷静に対応して欲しいところでした。
そのせいで優先出走権も目の前で取りこぼすしてもいるので悲しいところです。1枠1番と言う先入観が足を引っ張った印象で痛い敗戦となると思います。
変わって3着ナインの方ですが、この結果を見ればこの馬がカリオと同等以上の能力があったという事はもうご理解いただけていると思います。
ナインもハイペースを押し切りにかかり、1番人気を競り落として3着に残しています。レースのアヤでマギれ込んだような評価にはとても出来ません。
ガチンコ勝負での結果ですので、この2頭間にフロック性は介在していないと思います。
予想時に簡単に触れましたが、阪神1400mの未勝利戦を同じような内容で勝っています。ラップ構成が似通っており、どちらも強い競馬だったと分析できものでした。
しかも、馬場状況を勘案した入線時計で比較すればむしろナインの方が強いんではないかと言えるぐらいです。
そんな2頭が1番人気と12番人気と評価され、真逆の扱いをされていました。2頭の明暗を分けたのは次戦以降のローテのためでしょう。
カリオは同条件で2勝目を上げていましたし圧勝の内容でしたからこれが人気を得るのは当然だと思います。
ただ、ナインの方はマイル戦でいいところがありませんでした。これで本来の適正が見えなくなってしまったんだと思います。
この手の馬が外回りのマイル戦で負けるのはよくあることですで、適正がズレていたのですからそこを見直す必要はありました。
ナインがカリオと同じように阪神1400m戦を次戦で走っていればこんな人気にはなっていなかったと思います。
本当は同等の力を有していながら評価が同等にならなかったこういう事象を盲点と表現するのだと思います。
【回顧】 金鯱賞
こんにちは。
金鯱賞の回顧をしていきます。
サートゥルナーリアVSその他という構図で行われた金鯱賞でした。ただ、角居厩舎以外のその他の陣営は潔く白旗を挙げていて完全な1強状態です。
5連勝中の上がり馬ロードマイウェイ陣営に勢いで大物食いをしてやろうという気概はなく、ギベオン陣営に至っては最初から2着狙いに徹すると話していたほどです。
リスクを背負って勝ちにいくような陣営はほぼいませんでした。強いて言えば2着サトノソルタスの堀調教師が少々元気であったぐらいです。
サートゥルナーリア以下の着順を11頭で取りあう事だけのちょっと空しい感じのするレースだったと思います。
他陣営のそんなモチベーションはレースにもしっかりと反映されたいました。1000mの通過は63.6秒と非常に遅く、それで前が残り、後ろからでは届かないという展開。
レース全体がだらしのない内容で、とてもGⅡの別定とは思えません。迫力さが全くないレースでした。
また、こんなペースでも前を潰しに行くような馬もなく、どの馬もマイポジションでじっとしています。
各馬は最初からナーリアの出方待ちで競馬をするつもりでいたからこうなったと言えるので、1強体制の構図がレース形成に大きく影響したのは明らかです。
逃げたダイワキャグニーの内田騎手もこうなるんだろうなぁと達観していたのではないでしょうか?ペースをどんどん落として行って、やりたい放題な感じです。
3F目・4F目で13秒台の遅いラップを連続させていき、よくそこまで落とすもんだなぁとむしろ感心してしまいます。
ダノンプレミアム(61.0秒)が勝った昨年よりも、スワーヴリチャード(63.0秒)が勝った一昨年の様なレースになるだろうと予想時に申し上げました。
概ねこの指摘通りの結果でしたけど、今年はスワーヴの時よりさらにスローな展開になっているのでやはりちょっと物足りないですね。
同じ条件で行われて今回のメンバーも3頭出走していた中日新聞杯(GⅢハンデ)の方がレースとしてはよほど締まったレースでした。
よって、今回は単純な上がりの競馬となってしまい、道中のポジションの結果で着順が決まったようなところがあるのでしょう。
最後の3Fでどれだけ速い脚を使えるか?瞬発性能だけが試されたレースで、底力の様なものは一切求められませんでした。
こんなレースですから、前を行った2・3着以外は力なんて出し切っていないと思います、どの馬も。
様々な分析をしたところで、威張れるようなストロングポイントを示せた馬は出てこないと思います。
なので、レース内容の回顧はこんなもので十分でしょう。残りの候は各馬の状況や、感想程度のもしかかけないと思いますが、ご了承ください。
さて、サートゥルナーリアについてです。
冒頭触れたように他陣営に敵う相手ではないという事が周知徹底されているような情勢でした。打倒を謳う厩舎などどこにもいません。
この馬が本当に左回りが苦手だったらその隙をついて負かしに行こうって風に普通はなるのですが、そういう話は全く聞く事がありませんでした。
これはつまり、競馬サークル内でもナーリアを「左回りが苦手な馬」と考えていた関係者が誰もいなかったという事の現れなのです。
生産者の思惑としてもそれは同様です。本当は左回りだって大丈夫なんだよと言うことを認知させるためにあえて金鯱賞を選んだというのが実態です。
日本ダービー、天皇賞秋と府中で結果を出せなかったことで、左回りは走れない馬という評判をどこかで払拭しておく必要を感じたのだそうです。
これをそのままにしておくと引退後の価値にも影響が出てしまうんで、それを避けたかったからだろうという話になっています。
レース内容に見るものは全くありませんでしたけど、左回りOKと言うことを証明できたことは目論み通りの結果なので、ナーリア陣営には収穫は大きかったと言えます。
それにしても平常心で挑めば、この馬は全く引っかかることがありませんね。
神戸新聞杯の時は今回以上の超ドスロー競馬だったんですけど、その時も2番手で折り合いをつけ、32.3秒と言う中距離では究極以上の上がり脚を繰り出していました。
ルメール騎手が今回のようなペースでも動じなかったのは、神戸新聞杯で経験していたからちゃんとわかっていたからなのだと思います。
ヨーイドンの競馬で極上の末脚を使えることが。
だから4コーナー手前でも上がって行くような事はなく、本格的に追い出したのも直線に入って100mぐらいからでした。
それも追うだけで、鞭を入れる事もありません。ゴール前では後ろを振り返る余裕ぶり。
この程度の挙動で記録された上がりは33.2秒の最速でした。他のメンバーとは搭載エンジンの性能が段違いと言うしかありません。
この点は確認するために中日新聞杯2着だったラストドラフトと比較すると視覚的に理解しやすいと思います。
4コーナーで1馬身ちょっとしかなかった差がゴールでは3馬身ちょっとに拡げられてしまいました。上がりの速さでシンプルに負けています。
突き放され方も一瞬でナーリアの瞬発力にドラフトが付いていけていないのがよくわかります。
ドラフトも33.5秒で2位上がりでしたけど、一杯に追われてこの差ですから・・・。しかも、2k差もらっていましたし、いかにナーリアの瞬発性能が高いかと言う事です。
正直に言って、今回は能力の比較が出来るような相手関係ではありませんでしたね。他の陣営が無条件降伏してしまったのも仕方無い話です。
しかし、こういうレースが出来たのも平常心でレースに挑めていたからにほかなりません。
今後はいかにしてその状態にもって来れるかによります。それが出来ていればどの馬にも大体負けないはずです。
よって、この馬の現状の課題は2点です。
テンションを上げるトリガーとなる府中競馬場の施設面。そして、調整が難しくなる2戦目のローテション。
弱味がこれだけはっきりしている馬なので馬券を買う方としては扱いやすくていい馬だと思います。これに該当しない時は安心して馬券の中心にすることが出来そうです。
重視、軽視のタイミングが図りやすいと思うので、人気に振り回されることも無くなります。付き合い方を間違わなければかなり儲けさせてくれる馬なのでは?
なお、課題2点についてですが、これは成長に伴い気性の改善が見られれば払拭されることもあるでしょう。
しかし、施設面については手をつけらんないのではないかと思います。可能なら2・3日に無意味に府中で過ごして、スクリーニングでもしておく他ないですね・・・
2着のサトノソルタスにも少々触れようと思います。今回は堀厩舎が頑張って馬を矯正していたのが印象的でした。
抜けだすと気を抜くところがある馬なので、前走からブリンカーをつけているのですが、これに一定の効果があったようです。
中日新聞杯でも進路が空いてからしっかりと伸びていたので厩舎も手応えを感じていたようです。
しかし、それだけで満足しないのが堀厩舎の良いところです。
併せ馬の際に意識的に先に抜け出すようにして、最後まで我慢させるよう調教で工夫していました。
悪癖をどうにか抑え込もうとその努力に余念がありません。
昨年暮れの朝日杯FSの特集でサリオスにも調教を工夫することで弱点をなくそうと努力していたと話しましたが、今回もそういう姿勢が顕著に出ておりました。
人間側でしてやれることは何か?そこが分析出来て、行動に移せるところがこの厩舎の凄いところだと思います。
スタッフから訴えられたブラック訴訟がきっかけでリズムを崩していた堀厩舎ですが、最近は上がり調子なのではないかと感じることが増えてきました。
GⅠ戦線を再び賑わす日もそう遠くないように思います。
2番人気10着敗退のロードマイウェイは少々気の毒な所がありました。
こんなペースで後方からレースをしていた川田騎手でしたが、そんなポジションになってしまった原因があります。
発馬後に内にいたブレスジャーニーがヨレて来て、外にいたジュンヴァルカンとの間に挟まれてしまいポジションが最後方まで下がってしまったのです。
頭のいい川田騎手が今回の展開を想定していなかったとは思えませんし、あそこまで下げるつもりなんてなかったと思います。
「川田~、なにやっているんだぁ~」と言う前にレースの動画を是非ご覧頂きたいと思います。
ただ、少々テンションが高かったようでゲートの中でチャカチャカとやっていたようです。
それが無かったらもう少しマシなスタートを決めれていたでしょうから、アクシデントに巻き込まれることもなかったかもなぁと思います。
純粋に馬の状態面があまりよくなかったのかもしれませんね。今回がガス抜きとして作用しているなら、次走で巻き返す可能性は大いにあると思います。
【回顧】 弥生賞ディープインパクト記念
こんにちは。
ご存じの通りディープインパクトは既に急逝しており、残り産駒も少なくなってきています。
記念レースへの出走機会も限られているなか、たった1頭の産駒でいきなり優勝してしまうのは偉業に近いのではないでしょうか?
こういうところにもディープインパクトのカリスマ性が表れているようで、あらためてスーパーホースだったんだなぁと感じずにはいられません。
ちなみにですが、平松さとしさんのエッセイによるとシンザン記念をシンザンの産駒が勝つことはなかったんだそうです。
やっぱりディープインパクトは格別な存在なんですね。
今回の結果を受けた以上、弥生賞「ディープインパクト記念」という長ったらしい名前にもう文句は言わないようにしようと思います。
いつの日か弥生賞という言葉すらなくなってしまっても、ディープインパクトのしたことだからと私は許してしまうかもしれません。
さて、今年も馬場が悪化してレースがおこなわれました。昨年と同じような状況になってしまいました。
全体的なペースは1000mを61.1秒で通過しているので時計的には速くないですね。それでも先行していた馬は軒並み後退してしまい力尽きてしまったようです。
馬場が重いと時計では換算出来ないほど消耗しやすくなるものです。
昨年もそうでしたし、稍重だった15年(サトノクラウン優勝)の時も同じように先行勢が壊滅しています。これらの3年は前半61秒台で通過していました。
ですが、63.1秒で通過していた12年(コスモオオゾラ優勝)の稍重では2・3番手だった馬が2着に粘ることが出来ています。
馬場が悪化した場合は63秒ぐらいでたっぷりと時間をかけて回ってこないと先行する馬には厳しいという事なんでしょうね。
こういう馬場では後半のスタミナ勝負に備えてじっくりしているに限ります。消耗する体力を出来るだけ軽減してレースをすることが肝要です。
それと馬場が渋ることでインサイドの伸びが極端に悪くなります。
今年もまた外差し馬場になっていて上位の馬は4コーナーからまくって外目を伸びることでレースを決着させました。
昨年人気馬に乗りながら内目を付いて伸びを欠いていた勝浦騎手(1番人気ニシノデイジー)や田辺騎手(2番人気ラストドラフト)との違いが痛感出来てしまえそうです。
今年の武豊騎手・ルメール騎手・ヒューマンソン騎手の進路どりこそが正解だったということでしょう。
1流と呼ばれる騎手とそう呼ばれない騎手の差がこういうところに出て来るんだなぁと思います。
とにかく今年の3頭は馬場の傾向にしっかりと則り人気に応える結果となりました。
優勝したサトノフラッグは1枠1番でしたのでこのような馬場だと本来はマイナス材料となるのですが、武豊騎手は上手くさばいていましたね。
スタートしたスタンド前から出来るだけ外へ切り替えようと馬場の良いところを選んで進出していきました。
ポジションをキープしながら外へ進路取った辺りが素晴らしいと思います。最初から後方に下げて外に出すと言う乗り方ではそれだけ余計な脚を使うことになりますので。
重馬場なので体力温存しながら回らなければいけないところなので、自然と外目にポジションを取れたことは勝因の1つでしょう。
見事な騎乗だったと思います。
また、勝負所ではこの馬の強さを感じることも出来ました。
3着オーソリティが仕掛けながらながら4コーナーを回っていましたが、フラッグは持ったままで簡単にオーソリティに並びかけてしまいます。
手応えもばっちりでしたし、直線では楽に抜け出していたように映ります。この部分のレース運びはこの馬の性能の高さを最も端的に見て取れるところだと思います。
でも、それ以外の面を確認しても実に優秀な馬だなぁと思えるところが多々ありました。
道中の折り合いも全く問題ありません。GOサインを出してから反応も非常によい。序盤の武豊騎手の誘導にもスムーズに対応しています。
操作性は相当高そうですね。馬がとても賢いのでしょう。そして鞍上にとても従順です。
競争馬としての欠点が限りなく少ない馬と言っていいかもしれません。
また、今回の結果により重馬場にも難なく対応したことになります。府中の高速馬場ではレコード勝ちも収めています。3連勝での上がりも全部最速です。
馬場にとらわれることなく確実に上位の脚を使えるのですから、脚力の高さも相当期待できそうです。
まだ記録したことがない32~3秒台の高速上がりが使えるかどうかが未知数ぐらいですが、ディープインパクト産駒ならそんなことを懸念する必要もないでしょう。
残された疑問点は他馬との力関係ぐらいです。
コントレイルを筆頭とした既成勢力と対峙した時、果たしてサトノフラッグはどの辺に位置することが出来るでしょうか?興味の尽きないところです。
なお、府中の2歳レコード表を確認してみるとこんな感じになっています▼
◆1400m:1:20.8
∟タイセイビジョン(京王杯2歳S1着時)
↑朝日杯FS2着
◆1600m:サリオス
∟サリオス(サウジRC1着時)
↑朝日杯FS1着
◆1800m:1:44.5
∟コントレイル(東京スポーツ杯2歳S1着時)
↑ホープフルS1着
◆2000m:1:59.5
∟サトノフラッグ(弥生賞DI記念1着時)
↑皐月賞?着、ダービー?着
とまぁ、今年の3歳世代が全ての記録を塗り替えていたのでした。高速馬場が手伝っている面は否定出来ませんが、そろいもそろってよくやる世代です。
また、サトノフラッグ以外はみなGⅠで連対経験があるというのですから、このレコード表の価値はものすごく高く感じます。
GⅠ未経験のサトノフラッグも期待を高くすることが出来るところですね。
こちらのレコード表はJRAのHP上で確認することが出来ます。興味のある方は下記から覗いてみて下さい▼
なお、皐月賞以降のこの馬の鞍上問題についての見解も少々触れておきましょう。
レース終了後数日経過していますが、予想時に指摘したように武豊騎手はやはりキーファーズ・マイラプソディに騎乗する方向で動いているようです。
サトノフラッグは現在鞍上が空白です。まだまだ確定しそうにないんですけど既にいろんな方向で関係者は動いているようです。
2着のワ―ケアですが、負けはしましたけど悲観するような負け方でもなかったですね。
最終コーナー手前で前が壁になっていて、完全に踏み遅れてしまいました。ちょうど外からサトノフラッグが追い上げているところでした。進路をカットされた格好です。
ワ―ケアがサトノフラッグに負けたというよりは、ルメール騎手が武豊騎手に負けたという感じじゃないでしょうか?
そこからしっかりと差を詰められていた感じからすると脚を余した負け方としておくといいかもしれません。
サトノフラッグとも勝負付けが付いたとは言えないと思います。
ルメール騎手の談話もかなりご機嫌なコメントでして「次が楽しみになった」と、むしろ手応えを感じてさえいるようでした。
負けはしましたが賞金加算など目的は十分達せられたのでこれでよかったんだと思います。
それに陣営は「目標はダービーだから」と今回は全く仕上げていないんです。
また、「中山の2000mはベストとは言えないですね」と話しているように能力を出し切れる条件とも考えていません。
この馬を見直せる材料は非常に多いと言えるでしょう。
それにホープフルSと弥生賞DI記念のレース内容を見る限り、中山コースに全く適正がないようにも思えません。
皐月賞でもマークは外せそうにないですね。
3着オーソリティは上位3頭では真っ先に動く競馬で展開的には少し不利だったと思います。負けても強さは見せていると思います。
今回のような馬場でいち早く動く事はそれだけで致命的になるんですけど、権利を取るならああいう乗り方になります。
4着馬も何とか退けましたし、なかなか根性のある馬でしたね。今後も随所に良いところを見せられそうな馬だと感じました。
4着馬ブラックホールは予想時に申しました
>ですが、結局はオーソリティに2戦2敗なので対戦相手としては分が悪い。
の、通りになりました。
展開が向いていたのはブラックの方ですし、重馬場の環境を踏まえれば適正がより高かったのもブラックの方でしょう。
ブラックは賞金持ちで権利のなかったオーソリティとは仕上げ面で劣っていた可能性はあります。
でも、これだけ条件が揃いながら交わせなかったのはさすがに痛いですね。もう、オーソリティには勝てないんじゃないでしょうか?
【回顧】 チューリップ賞
こんにちは。
桜花賞トライアル・チューリップ賞のレース回顧をしていきます。
想定通りに阪神JF上位馬の再戦となりました。2歳女王レシステンシアが後ろに回り2・3着が繰り上がて1・2着と言う結果です。
1着マルターズディオサと2着クラヴァシュドールのハナ差は、2・3着だった阪神JFと全く同じ着差というのも面白い所ですね。
この2頭はこの3ケ月でしっかりと馬が成長していたという話がありましたから、成長の上げ幅もほぼ同じだったということなのかもしれません。
ですが、レースに賭ける意気込みの部分でこの2頭には明らかな差がありました。
上位馬の中では最も賞金の少ないクラヴァシュは今回勝ち負けの意欲が高く、本番が心配になるほどに仕上げていたそうです。
同じ厩舎のリアアメリアを桜花賞に直行させたのもその一環であり、ここはクラヴァシュを勝たせるための施策だったのではないかとも言われています。
賞金加算も権利も取れた結果でしたから目的は概ね達成されたことでしょう。ですが、負けてしまったという結果は素直によろけべないところです。
またレース内容においてもマルタに劣っていると言わざるを得ません。
クラバシュが最内であったのに対し、マルタは大外から2番目の8枠13番。この枠差は圧倒的にクラバシュが有利な状況です。
ラチ沿いで完璧に脚を溜められていたクラバシュに対し、外枠から出していき道中も外々を回っていたマルタはロスの多い競馬でした。
この内容で追い負けてしまったことは見た目の印象以上にシビアだと思います。
しかも、マルタは本番への余力を残しての結果でしたから、クラヴァシュ陣営のショックは小さくないはずです。
逆を言えば、それだけマルタのポテンシャルの高さを物語ると言えるのでしょう。
既に申し上げたようにレース内容は完勝と言っていいもので、ケチをつけるところを見つけることが出来ません。余裕残しでこの結果ですから、前途は有望です。
かつてはスタートで遅れてしまうこともありましたが、今はそういう気配を見せることはなく、今回も素晴らしい発馬からレースの流れにすんなり乗れていました。
欠点がなくなりつつあるのはいいことですね。
厩舎筋ではとにかく馬の成長が素晴らしかったと話ていました。「どの馬も成長して出て来ると思うが、ウチのも全く負けていない」と言う強気でした。
具体的には、桜花賞特集に回しますけど、精神面が向上したことで走りに余裕が生まれ、前進気勢が強くなってきたのだそうです。
押さないと行かない馬が自ら行くようになってきたのは大きく、レース中のオプションがかなり増えたのだろうと思われます。
また、今回2歳女王を破ったことで、この路線の中心にいる全ての馬に先着したことになります。
残っているのは未対戦のミヤマザクラと2戦2勝でエルフィンSを勝ったデアリングタクトぐらいのものでしょう。
この対戦成績なら今年の牝馬路線を牽引している馬と言ってもいい存在になりました。
馬主(冠名)や出自(非ノーザンF)からとても地味な印象がありますが、桜花賞をこの馬が勝ったとしても驚けない事態となって来ましたね。
叩いた効果も期待できる本番はさらに上の走りを披露することも可能でしょう。
なお、レース後は栗東に居座って調整されるようです。まぁ、当然そうなりますよね。これで本番まで完璧に仕上げることが出来ると思います。
とにかく明るい材料しか見当たらないので、関係者も本番が楽しみでしかたないのではないでしょうか?
さて、レシステンシアです。今回は3着で阪神JFで大いに引き離した2頭に逆転を許す結果となりました。
阪神JFの圧勝ぶりから絶対女王の様な扱いにまで昇華してしいて単勝オッズは1.4倍の圧倒的な支持。
この馬が負ける姿をほとんどの競馬ファンが想像すらしなかったということです。そんな馬がどうして負けてしまったのでしょうか?
その理由は簡単です。トライアルの走りに徹していたからでしょう。
私はハナにはいかないだろうと考えていたのですが、発馬の上手さ、初速の速さが素晴らいですね。天性のスピード能力が発露していた感じです。
結果的に今回も阪神JFのように逃げの手を打つことになしました。しかし、戦法は同じでしたがレースの内容は似て非なるものとなりました。
阪神JF:3F通過33.7秒、1000m通過57.5秒
チューリップ賞:3F通過35.1秒、1000m通過59.3秒
同じコース、同じ距離、同じ開幕2週目でほぼ同様の環境で行われた2レースでしたが、今回の方が各指標で1.5秒~1.8秒も遅いペースで進んでいきました。
要するに、控えた競馬をしたということでしょう。
逃げた馬に対して控えるという表現は間違っているのでしょうが、そのスピードが抑制されていたことは数字が物語っています。
阪神JFはスピードまかせで馬の長所を最大限に発揮する競馬でした。頂上決戦のGⅠ戦ですし、肉を切らせて骨を断つ作戦には意味があったと思います。
しかし、トライアルの前哨戦でそんな目一杯な競馬をしていたら本番にオツリは残りません。
目標が先なら余力を残したレース展開も責められるものではないですね。その結果が瞬発力勝負を誘発してしまい、2頭の決め手に屈した格好となりました。
厩舎側も「まず崩れることはない」とは言っていましたが、勝ち気がない言い方とも取れました。
目一杯の競馬をここでする必要はありませんので、無難な乗り方で本番につながる競馬を選択したんだと思います。
大きく崩れたわけでもありませんので、トライアルとして良い内容だったと思います。結果を悲観することもないでしょう。
それにヨーイドンの競馬だと決め手がない事も判明し、瞬発力勝負になると上位2頭に分があることも分かりました。
(蛇足ですが、今回のようなレースだったら阪神JFで1番人気に支持されていたリアアメリアでも余裕で勝ち負けに加わっていたのではないかと思います)
トライアルでそういう弱点を認識できたことは悪い事ではありません。この部分を修正するような調整も出来ますし、レースプランも再構築することが出来ます。
課題を見つけて本番へ向けて修正を出来るのも、トライアルの有効的な活用方法です。
この結果からすれば、阪神JFの様な速いペースで運ぶ競馬に戻してくるんだと思います。そういう競馬が出来ればGⅠ制覇の再現も可能なことでしょう。
でも・・・
阪神JFは人気が薄かったことも幸いしていましたし、桜花賞はマークがきつくなることも想定されます。
また、レコードが出る高速馬場でイン前有利だったあの状況を開幕7週目の桜花賞時に望むのは無理筋です。
同じ競馬をしてみたところで状況が大きく変わっている可能性が高いと思います。桜花賞の条件がこの馬に適しているかは思案のしどころではないでしょうか?
他で気になるところにも簡単に触れておきます。
阪神JF4着だったウーマンズハートでしたが、その阪神JFで先行してしまったことが影響して行きたがるようになってしまったそうです。
前進気勢が強くなっているので、前走と同じ競馬をしては本番で手が付けられなくなってしまうということで、今回はガス抜きするのが狙いであったそうです。
折り合い重視で結果度外視のレースと言う認識が陣営にはありましたから、今回の結果は気にしなくてもいいでしょう。
格下の馬に先着を許したのも仕上げの問題なのでこれも気にしない方がいいと思われます。
使った効果、本番までの調整次第で巻き返せる可能性を持っていると思われます。これで人気が下がるなら穴馬としての旨味が熟成されていくでしょう。
フェアリーS勝ちを評価され一時は2・3番人気まで支持が上がっていたスマイルカナでしたが、掲示板にも乗ることが出来ませんでした。
これもレシステンシア同様に行かないと持ち味が出ない馬ですね。バテてはいませんでしたが、ヨーイドンの競馬に対応出来ませんでした。
逃げた場合は3戦3勝。控えてしまうといつも7着。これだけはっきりしていれば本番は逃げないと話にならなそうです。
そうなって来るとレシステンシアにとっては嫌な存在になってくるかもしれません。
【回顧】 中山記念
こんにちは。
無観客で行われたことで面白いことも起こりましたね。
阪急杯でダイアトニックの進路妨害が起こった際に、被害をモロに受けたフィアーノロマーノ騎乗の川田騎手の怒声がレース動画で確認出来ます。
さすがにはっきりと確認できませんので気のせいかもしれませんが、トラブルのタイミングで誰かが何かを叫んだことだけだけは間違いがなさそうです。
興味のある方はJRAのHPのレース動画をフルボリュームで聞いてみて下さい。
それでは、中山記念の回顧をしていきます。
行くだけ行ってというスタイルでここ数年の競馬を盛り上げてくれたマルターズアポジーでしたが、今回の1000m通過は59.3秒でした。
中距離なら58秒前半でビュンビュン飛ばすというイメージがありましたが、全盛期の逃げっぷりと比べるとやはり衰えていたんだなぁという感じです。
それにこんなペースで行っても今は全く粘れていないのも現状を物語っているのでしょう。ラストランということを嫌でも感じさせる寂しい内容のものでした。
それでも久しぶりにこの馬らしい逃げを打てたのではないかと思います。近走はスプリント戦とか、ダート戦を使われながらもがいていましたから。
最後にベストの条件で走れてよかったのではないかと思います。
個人的にはキタサンブラックに果敢に挑んだ16年の有馬記念が1番印象に残っています。8歳までお疲れ様でございました。
そんなマルポのペースで進んだ今年の中山記念でしたが、11秒台後半のラップが淡々と続いたのですがGⅠ級のメンバー構成ならそれほど苦もないペースです。
その割には最後の上がりは全体的に物足りず、ラスト2F目に11.3秒のラップが記録されただけでラストの1Fも12.1秒と落ち込んでいます。
GⅠ馬が5頭も出走していたことを考慮すると、ペースは遅いと断じて良く、レースの中に厳しさというものを見出すことが出来ません。
持続力も、瞬発力も問われることはなく、ステップレースを無難に終えたなぁという印象ぐらいしか残りませんでした。
勝ち時計は例年と比べて遅いということではないので価値がない事ではありませんが、見るべきものは何も見つかりません。
その辺は入着馬の通過番手を確認してもご理解頂けることでしょう。
前を行った2頭がバテて、その後ろにいた馬が繰り上がっただけという理解でいいんではないでしょうか?開幕の中山ならよくある風景ですね。
展開に逆行してすごい脚を見せた馬もいませんでしたし、各馬が無難にレースを終えたとするのが妥当な表現だと思います。
こういうレースの結果は良いも悪いもありません。
叩き台としていかに機能したのか?レース後から本番までその効果がどれほどあるのか?そこを測るぐらいしか当面はすることがなさそうです。
それでも一応、上位入着馬にコメントを入れていきます。
勝ったダノンキングリーですがこの馬の重賞3勝は面白いですよね。全て1800m戦ですし、全てのレースでGⅠ馬を負かしています。
これではもう完全な前哨戦キャラと言うことになって来ます。
共同通信杯は使っていた強みを行かしてアドマイヤーマーズを完封。毎日王冠は3歳馬ということで54kでの出走。中山記念はGⅠを勝っていないことで56kでの出走。
3勝全てがローテや斤量的なアドバンテージを利した勝利と言えなくもありません。
今回も勝つには勝ちましたけど、本番前の前哨戦でよくある結果であり、この馬のキャリアはそういう点がとてもよく反映されています。
本番(多分大阪杯)に向けて評価できるような内容をレース中に残してくれていればよかったのですが、あいにくレースは平凡でした。
それほど嫌いな馬でもないので必要以上に褒めてあげたいところなのですが、無難過ぎた結果であまり褒められるところがありません。
この馬に必要なのはもうGⅠタイトルだけなので、本番までの調整に期待したいと思います。
2着のラッキーライラックもいい競馬でしたけど。
道中は勝ち馬ダノンキングリーからつかず離れずのすぐ後ろを追走。しかし、使えた上がり(34.2秒)が勝ち馬ダノンキングリーの上がり(34.2秒)と全く同じなので。
道中のポジション差を1ミリも詰めることが出来ませんでした。
脚質的な話は予想ページでしている通りで、今は控えて差す競馬が持ち味とされていまいますからキングリーの後ろにつけてしまうのも仕方の無いところです。
展開負けという評価を与えてもいいと思います。
それに、デムーロ騎手のレース後談話やレース中の挙動から察するに今はこういう距離だと忙しいような印象も受けました。
スピード優先の距離や展開はもう合わないかもしれないですね。
後方からレースをすることで心境を見せたのもバテない強みを末脚に転嫁して逆転しているからなので、極端なキレ味勝負などは今後避けた方がいいでしょう。
もう少しタフな展開で周りの馬がバテたところを差し込む方が今はいいのかもしれません。長く使える末脚を活かせるレースの方が向いていることいでしょう。
これではヴィクトリアMの勝ち負けは厳しそうだなぁと思っていたところ、さっそく次走が大阪杯であることが発表されました。
やはりそういうことなんでしょうね。
なお、キングリーの56kに対して、こちらは牝馬の55k。GⅠ勝ちで斤量が増されていましたので見直し材料は残せたと言えます。
始動戦としては合格点だと思います。
4着のインディチャンプもある意味予想通りの結果に終わった1頭でしょう。
最後はライラックと合わせ馬で追い込みましたが、それには追い負け、3着のソウルスターリングも交わせずに。
原因は休み明けだったから、斤量が58kだったから、マイラーなので1F長かったからなどいろんな事が考えられます。
恐らくその全てが少しづつ作用した結果だと思います。これだけ不利条件が揃っていれば今回の結果は気にしても仕方ありません。
でも、やっぱり1番の原因は勝負度合いだと思います。
福永騎手の乗り方は消極的でしたし、試走とか叩き台とかの内容重視の競馬だったのが結果に大きく影響したのではないでしょうか?
福永騎手は
レース前に「どうしても勝ち負けしなければいけないレースではない」という話をして
レース後には「使って次に良くなりそうな気はしていた。今日の内容なら本番が楽しみになった。」と話しています。
今回のレース結果に拘りをもっていなかったと思われます。叩き台という目的を持っていたなら、乗り方は責められないですし、結果も度外視で大丈夫なのでは?
次走は香港のチャンピオンズマイルと言う話をしていました。あちらの馬は強敵揃いですけど、今回の走りがそこで活きればいいですね。
最後に3着だったソウルスターリングにも少し触れておきます。
今度は取り消すことなくゲートインまでたどり着き、馬券にまでなる事が出来ました。
2歳女王2頭による2・3着争いに私はちょっと感動してしまいました。
でも、ペースは遅かったですし、開幕週の中山せんぱち。結局は先行していた馬に有利な流れで展開が向いたのは否めません。
今回は大いに恵まれていたのも事実でしょう。
同じ牝馬でともにGⅠ2勝馬の身分でありながらライラックから1kもらっている斤量です。さらに展開を味方にしながら交わさるのは力負けと言わざる得ないところです。
これが引退を前にした馬の現実と言えばそれまでですが、2・3歳時の輝きを思いだすとやはり寂しい結果だったなぁと感じます。
ところで、一応はここが引退レースということでしたが、もう1戦するようです。
結果次第でもう1戦と言うのは戦前で想定されていましたので、私は結果が良ければ万々歳で繁殖入りするんだろうなと思っていました。
しかし、藤沢調教師はもう1戦してもいいかなとレース後に語っています。
今回使ってダメなら上げちゃおうって言う話で、走れるようならもう1戦と言うのが本当のところだったようですね。
だとすると、ソウルスターは自分の力で現役生活を延長することになりました。その辺にこの馬の意地の様なものを感じます。
ラストランでも頑張って頂きたいものです。
なお、もう1戦するなら中山牝馬Sと言う話がレース前にあったので、引退レースはそこになるだろうと思われます。
今回の結果ででハンデが課せられそうな点は気になりますが、中山記念と同じ中山の1800m戦というのは悪くないかもですね。
【回顧】 フェブラリーステークス
こんにちは。
2月23日に行われたフェブラリーステークスの回顧をしていきます。
1着が安田記念馬で、5着にはホープフルSの勝ち馬。今年のフェブラリーSは元芝馬の大活躍で幕を閉じることになりました。
トップクラスが不在であったとはいえとても珍しい結果になったなぁという印象です。
また、大方の見解として今年はスロー・ミドルな展開が想定されていましたが、レースはそうはならず速い流れで進んでいきました。
過去と比較して超速いというペースではないのですが、3F目が34.6秒、1000目の通過も58.7秒と決して遅いペースではなく、立派なハイペースに分類できるレースです。
このブログでは逃げ馬が生き残るためには3F目を35秒台、もしくは1000mは60秒台で通過することが条件と話していました。
少なくとも逃げ馬が馬券になれるようなペースではなかったと言って差し支えありません。
逃げると思われていたインティのスタートも良くありませんでしたが、こんなペースで流れてしまうと追いかけても意味がありません。
行ったところで最後はダメだったことでしょう。武豊騎手は早々にハナに立つことを諦めてしまったようですがそれも無理からぬ話です。
こういペースを演出したのは逃げたワイドファラオではなく、2番手から一切引かず執拗にファラオに絡んでいったアルクトスの田辺騎手によるものです。
田辺騎手はインティが出遅れたことにより先手を取ろうと妥協せずに主張したのだそうです。
結果的にワイドファラオともども自滅してしまうのですが、ともあれレースの流れは速くなり厳しい展開となりました。
このペースは当然結果にも大きな影響を与えます。前に行った組がほぼ全滅する結果となりました。
3番手を進んだタイムフライヤーこそ5着と掲示板を確保しましたが、他は8着までが差し追いしてきた馬が占めてしまいました。
前に行かないとどこさもないというタイプに出番はなく、逆に前でも後ろでもどとらでもという馬がレースの流れに合わせて好走して来たなという印象です。
2着ケイティブレイブは抜群の出脚を決めながら前を追いかけませんでしたし、近2走で先行していた3着サンライズノヴァも本来の後方ポジションの競馬を選択しています。
レースの流れを早期に読み取った鞍上の判断は好走した要因の1つと言っていいでしょう。
それは優勝したモズアスコットも然りです。
今回のレースで一番良いスタートを決めたのがこの馬です。さすが元芝馬、芝部分で素晴らしいダッシュが効いています。
その後は出たなりで進めて行くだけで、ポジションが下がったのも控えたというよりは他の馬が速いからという感じです。
さらに1F目を過ぎたぐらいには内側に誰もいなくなり、とても楽にラチ沿いへ陣取ることが出来、ロスの無いとても良いポジションでレースを進めて行けました。
インティの後ろでレースが出来たのもやりやすかったことでしょう。中段からレース全体を眺められる良い位置で運び展開を見事に味方にしています。
加えて前を行っていた馬のほとんどが失速していくので、直線で馬群が大いにバラけていきました。結果、トップスピードのままとても楽に馬群を捌けてしまうという。
レース全体を通して、行く先々で進路が自然と開かれて行くという非常に楽なレース展開だったのではないかと思います。
1番人気がこれだけ楽にレースが出来てしまえば、楽勝するのも当たり前ですね。
また、ルメール騎手もスタートを決めたぐらいで他はほとんど何もしていません。馬のリズムを重視しただけの、すごくすごく楽なレースだったと思っていることでしょう。
不利もなく、無理することもなく、馬なり追走しただけで、直線だけの競馬で勝ってしまったなぁという印象です。
言ってしまえば、実力を出し切ることなくもなく、7分8分の力で楽勝したのではないかと思えます。
そんなレースではありましたが、レース内容の中身が薄いものでもなさそうです。
勝ち時計だけで見れば例年並みぐらいの時計は出ています。それもモズアスコットが2馬身半差と圧勝したことで記録されたようなものだからです。
他年と比較した相対的な見方では標準レベルには十分達しているでしょう。ラップ構成や走破タイムを確認してみるとゴールドドリームぐらいには強いかもしれません。
今年はメンバーのレベルが疑問視されていましたが、アスコの存在あったおかげでレースの格式がかろうじて守られたと言えるのかもと思います。
本気で走ればどれだけ強いんだろう?という疑問は当然湧くところでして、今回回避した面々とどこかでぶつかってくれるとまた面白いことになりそうです。
ただ、他のメンバーのほとんどが中距離馬であるので、1400mがベストのこの馬とは距離適性がかみ合っていないところが残念です。
トップクラスとの対決は1年待つ必要があるのかもしれませんね。
客観的に見ればケイティブレイブの2着は当たり前だよなぁという感じがしないでもありません。思えばこの馬もトップクラスと互角以上の戦いをしていた馬なので。
ただ、どう考えても距離は短かったですし、中央場所の成績も不安定。加えて近走の成績で全くいいところもない。
最低人気はさすがにやりすぎでしたが、支持を集めなかったのも当然です。ここで来るのかぁという感じは否めません。
そんな馬がどうして走ったのかと言えば、レースが自力勝負となったからでしょう。
道中のペースが厳しくなりますと、能力的なものがあぶりだされてしまいます。そういう展開だとどうしても力のないものから脱落していくものです。
それがGⅠレースならなおさらで、自力があることに間違いないこの馬に出番が回って来たということでしょう。
とりわけ今回は出走馬の質に問題があった馬ですから、ケイティブが浮上してしまう余地がない訳でもありませんでした。
だとしても・・・
ケイティ陣営にしてみればそれほど野心があった訳ではありません。
やはり好走を期待できるような条件ではありませんでしたし、登録するだけで出走するつもりはほとんど無かったのだそうです。
ところが、登録メンバーを見てこれだけ弱面だったので出れるだけで出てみようかという程度の話です。
その辺の事情は器用されていた鞍上を見ると推し測れるところでしょう。狙って出走してきたという感じは全くなくて、勝負気配というものはありませんでした。
このような背景があったので好走した要因を想定することがまるで出来ませんでした。
【GⅠ特集】 フェブラリーステークス 2020
こちらはフェブラリーステークスの特集ページです。
今年は大混戦となりそうなメンバー構成です。しかし、混戦は今に始まったわけではありません。
この1年の中央のダート重賞では1番人気がほとんど負けています。ダート路線はずっと荒れたレースが続いていたというのがこの1年の傾向でもあります。
昨年の当レースをインティが1番人気で制して以降、その次に行われた平安Sから直近で行わた根岸Sまでのダート14戦において1番人気はわずか1勝しかしていません。
一般的にJRAのレースでは1番人気の勝率が3割と言われているのですが、ダート路線の1年間における成績は1割に満たない7%という低調さです。
馬券対象に幅を拡げても2着3回3着1回と人気通りに走っているとは言えず、馬券実績は5度に過ぎません。
その影響なのか、荒れた結果になることもしばしばでして14レース中の6レースに8頭の2桁人気馬が激走しています。
このようにダート路線は基本的に荒れる傾向のまま推移してきたのです。
例外的に人気に応えた馬は大体がトップクラスの馬だったのですが、それらは今回出走してきません。
これではこの潮流通りの荒れるレースとなってしまうのではないかと私は戦々恐々としているのです。
なので今回は人気におもねらない検討が必要になってくると思われます。
能力的に抜けているような存在は少なく、各馬間にそれほど大きな差がありません。枠の並びや展開でどの馬にもチャンスは巡ってくるのではないでしょうか?
そこで展開面から検証をスタートさせていき、その上で各馬の適正・個性を再認識していきます。それと同時に各陣営の戦略や近況を確認していくことに致します。
なのでグループ分けは脚質によるものとして、下記のように分類します。
①前方の馬(逃先)、②中段の馬(差)、③後方の馬(追)
これらのカテゴリーのフェブラリーSにおける特徴や傾向を合わせて探り、各馬へ短評を入れていくように致します。
フェブラリーステークス特集の各テーマはこちらから